【記事】教育基本法審議、必修漏れ責任論争に 指導要領にも矛先
朝日新聞(10/31)
○学校現場に責任があるのか、文部科学省を中心とした教育体制に
問題があるのか。30日に実質審議が再開された衆院教育基本法特
別委員会では、高校必修科目の履修漏れが論議の中心になった。い
じめ問題ともからみ、教育委員会のあり方、ひいては教育行政シス
テムそのものが問われるからだ。安倍首相は同委員会終了後、教育
委員会の機能強化を図る考えを記者団に示した。この問題で野党側
は審議を引き延ばす作戦。11月上旬に教育基本法改正案の衆院通
過をめざす与党が、既定路線を崩さず採決に突き進むかどうかが焦
点になる。
【記事】教育基本法審議、必修漏れ責任論争に 指導要領にも矛先
朝日新聞(10/31)
○学校現場に責任があるのか、文部科学省を中心とした教育体制に
問題があるのか。30日に実質審議が再開された衆院教育基本法特
別委員会では、高校必修科目の履修漏れが論議の中心になった。い
じめ問題ともからみ、教育委員会のあり方、ひいては教育行政シス
テムそのものが問われるからだ。安倍首相は同委員会終了後、教育
委員会の機能強化を図る考えを記者団に示した。この問題で野党側
は審議を引き延ばす作戦。11月上旬に教育基本法改正案の衆院通
過をめざす与党が、既定路線を崩さず採決に突き進むかどうかが焦
点になる。
「教育行政の責任と権限があやふやで、それが問題の根源だ」(
民主党の笠浩史氏)
「役割分担は責任放棄ではない。それぞれが責任を持っている」
(安倍首相)
履修漏れの責任はどこにあるのか。30日の審議では、ここが大
きな論点となった。
○文科省は学校現場、すなわち校長に一義的な責任があるという立
場だ。伊吹文科相は「高校教員の人事権は基本的には教育委員会に
ある。学校の運営権は校長にある。文教行政の責任者としておわび
をしないといけないのは当然だが、それにしても、権限を持って実
際にあたっている人はしっかりして欲しい」。いじめ自殺にも触れ、
「精神論だけで(うまく)いかない場合は、(教委を)制度的に見
直していかねばならない」と現場批判を展開した。
○これに対し、野党は逆に頂点に立つ文科省批判を強める。
○野田佳彦氏(民主)は「一学校の問題なら校長が謝罪すればいい。
見逃した教委でもいい。だが日本中で起きた」と指摘。「文科省の
責任だ。文科省のトップが教委が悪いとか校長が悪いとか言ってい
る場合でない」と切りつけた。
○この違いは、教委見直し問題とも密接に絡む。強化を唱える文科
省や与党と、廃止を掲げる民主党という対立構図だ。
○安倍首相は30日の審議後、記者団に教育再生会議で教委見直し
を検討する考えを示したうえで「どのような機能を強化していくか、
国との関係等ということもある」と語り、文科省にくみする立場を
鮮明にした。
○学習指導要領や必修科目の見直しにも論議は広がる。
○指導要領は、文科省によると「学ぶべき最低基準」。しかし、受
験科目とずれがあり、それを埋めようとした学校側の「苦肉の策」
が問題を生んだからだ。02年度から始まった公立学校の完全週
5日制など「ゆとり教育」が進み、受験に必要ない科目を履修し
ない学校現場が増えたと見られている。
○このため、自民党内に根強い「ゆとり教育」批判派が、指導要
領の抜本見直しに向け勢いを増す可能性がある。「首相は『美しい
国』を主張しているのだから、日本史を必修にすべきだ」との意
見も強まっている。
○しかし、大学入試の実情に合わせて見直すことには異論もある。
伊吹氏も「本末転倒だ」と語っている。
○一方、未履修だった生徒の救済策については議論は深まらなかっ
た。31日にもまとまる私立高校の調査がまだ終わっていないこと
も背景にあるようだ。また、伊吹氏は3年生の救済策をまとめたう
えで、偽りの調査書(内申書)で推薦入学が決まっている生徒の扱
いも、検討する考えを示した。履修漏れのまま卒業した人について
は、補習受講などの対応は求めない見通しだ。
『コメント』
◇今回の高校の未履修問題が、こんなに全国に広がっているとは誰
が想像しただろう。地方の公立高校の一部が、保護者や世間の期待
を一身に受けてやっているかもしれないとは思っていたが、ここま
で全国に広がっているとは、思わなかった。
◇この問題は、教育改革の目玉であった、学習指導要領の性格変更
によるところが大きいように思う。
◇マキシマムスタンダード(上限を定めてここまで教えろ!)から
ミニマムスタンダード(最低限のことを教えろ!)に変わり、そし
て生徒のレベルに応じて、学校単位でそれ以上のことを教えてかま
わないとした点が、この問題の分岐点になったように思う。
◇だから、私は、保護者のための教育講演会に呼ばれるたびに、中
学校で教える内容に差が出てしまうから、自分で自分の子どもの教
育内容には、責任を持て!と保護者の方に注意を促してきたし、ま
た、普通科高校でも、学校ごとに教える内容に差が出るから、大学
進学を考えるのであれば、高校選びをしっかりやったほうが良いと
注意を促してきた。
◇教育の自由化を狙いとする教育改革の目指すところとして、自己
責任と学校間競争があるのだ。今回の件の大きな原因だと思う。こ
のことは、前回のメルマガでも指摘しておいた。
◇ここまで、この未履修問題が広がりを見ているのは、文科省指導
で、教育改革が行なわれていたからだ。地方分権といいながら、実
は、価値の一点集中は、ほとんど変わっていないのだ。教育の問題
は、実は進学問題なのだ。大学進学問題になっているのだ。
◇このことを私たちは、もう一度意識しなおさなければならないは
ずだ。バウチャー制度導入もこの観点から議論しなおすべきだ。生
きる力なんてカッコのよいことを言っていながら、結局は、学力偏
重への序章を用意しただけなのだ。
◇国の教育行政が、今回の事件の発端だ。教育行政の転換を私たち
は、求めるべきだ。教育の自由化は、私たちにとって何をもたらし
たのか、検証してみる時期だと思う。
合資会社マネジメント・ブレイン・アソシエイツ
代表 中土井 鉄信
http://www.management-brain.co.jp/
【読者の方からご意見・ご感想】
先週号のテーマ「誰が招いた結果なのか!」に読者様からお寄せ
頂いたご意見をご紹介いたします。
いつもメルマガ、有り難うございます。
二つほど気になる点なのですが、
一つは私学はあまり未履修の学校としてあがっていませんが
実際は進学校では未履修も多くあるような気がします。
どうなんでしょう。学習指導要領の適用について、私学は柔軟で
あっても許されているということなのでしょうか。
そうなると、公立との進学実績で差が出てしまうということは
ありませんか。私学にも同様に、しっかり学習指導要領を
守ってもらいたいと思います。それが、子どもの健全な知的成長に
役立つものであるならば。
もう一つは文系選択者の理系科目についてです。
理系については理科1とか、割合簡単な内容でお茶を濁して
しまえるようになっていると思います。
ならば、世界史・日本史というようなハードな内容ではなくて
エッセンスというかサワリをさっとできるような地歴1みたいな
科目を作って理系選択者に履修させるという方法を、文部科学省も
考えてみてもいいのではないか、と思うのですが。
※大変貴重なご意見をお寄せいただきまして、ありがとうございました。