「報告」(前編)
受験生、それも「中学受験」をする小学生と聞いて、どんなイメージを
皆さんは思い浮かべるだろうか。
ハチマキ巻いて「絶対合格するぞぉ!!」とか、分厚いメガネをかけた
「ガリ勉君」とか、まぁ、いまだに存在はするのだろうが、それはごく
少数だ。
確かに、賢い。僕の知らないことを教えてくれる。そういう小学生も少
なくない。でも、やっぱり小学生。子供の部分も十分に残している。特
に男の子は女の子と比べると、6年生であっても、やんちゃで「子供」
な面が顔を覗かせる。
教室で「ガチャン」と何かが割れる音がした。授業開始までまだ30分
あるが、生徒はちらほらとやってきている。その音は小6の教室から聞
こえた。
慌てて駆けつけると、そこには既に室長がいた。そして、その脇には二
人。亮太と正浩がいた。3人は黒板の前で下を向いている。視線の先に
は文字盤を覆うガラスが砕け散った時計が落ちていた。
その時計は、黒板の上の壁掛けのものである。それがどうして一体?そ
れにはどうやら亮太と正浩の二人が関わっているらしい。
「二人とも、ガラスを片付けたら、ちょっと職員室へ来い」
室長は言って職員室へ。僕は二人が片付けるのを見届けた。
片付け終わると、二人は室長へ事情を語った。
どこまで手が届くのか、ということだったらしい。ジャンプしてより
高いところへ、という他愛もない遊びに二人は熱くなってしまった。
亮太が黒板の上にかけてある時計に手が届いた。負けじと正浩がジャ
ンプする。
指先が時計に触れた。とたんに壁から離れた時計は重力に素直に従い、
床へ。どうやら、先に跳んだ亮太が触れたことで、緩んだらしい。そ
れに正浩がトドメを刺したということだ。
話を聞き終わった室長が二人にある指示をした。それが面白かった。
○次回へ続く。(登場する子供は仮名です。)
合資会社マネジメント・ブレイン・アソシエイツ
荒木 崇(チーフ・コンサルタント)

