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伝えたい - K君のお母さんへ

 東京や横浜の大学に合格して、期待を胸に大都会の荒波の中に身を投じてきた学生たちには、60歳の男を喜ばせる朴訥純朴な学生が少なくないものです。でも、それから2年後、再会して目を疑うような変貌振りを示す女子大生が少なくありません。というか、変身しない女性のほうが少数派のようです。田園的な色彩で身を包んでいた彼女たちは、若い女性向けのファッション雑誌を通って、都会のネオンが似合うカラフルさでまぶしく光り輝いていきます。環境が人間に及ぼすパワーのすさまじさが私の身にしみます。

 男子学生も、もちろん、少しずつ大都会派へ変身するわけですが、中には、故郷を出たままの姿を守っている学生もいます。K君なんかはその一人です。彼に大切なのは、泥だらけになって野球に打ち込むことでした。連戦連敗の常連最下位、どうころんでもすべってもなかなか勝てないちっとも強くない野球部で、就職戦線の幕が切って落とされるぎりぎりまで、K君は白球を追いかけていました。いつ会っても彼の目はきらきら輝いていて、その光は私の心をすがすがしく照らしてくれました。

 故郷で働き続けるお母さん、女手一つでK君を育て上げたお母さんに伝えてあげたいな。K君にすばらしい彼女ができたこと。誠実で飛び切りのがんばり屋さんで、私が論文に最高点をつけた才女で、控えめで化粧っけのない、K君にお似合いの、一つ下の大学2年生であること。お母さんへの感謝で胸がいっぱいだったK君の心が何倍も大きくなって、お母さんの隣に、素敵な女性が暮らし始めたことを。


担当:関口

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