「ヘルプミー」
教え子のN君からメールが来た。件名は「ヘルプミー」。
彼は大学四年生。来春からの就職も決まり、僕は一応、社会人の先輩と
して、就職に関する彼の話などをたまに会って聞いていた。
僕の大学四年のときと比べると、はるかにいろんなことを考え、野心も
あり、とびっきり頭も良い。会う度に「将来、俺の面倒見てくれ」と半
ば本気でお願いしていたくらいだ。
それが、「ヘルプミー」とは穏やかじゃないし、そんなに直截的に弱い
ところをさらけ出すような男でもない。
さて、一体何があったのか。メールを開けてみると・・・。
『小6の男の子の受験対策をどうしていいのか八方塞になりました・・・』
『あと、高校受験生。数学を教えているんだけど、もう公立の過去問
を解きはじめなきゃですよね?個人で成果を上げられるような過去問
の使い方はできないと考えていて・・・』
そういえば、前回会って呑んだとき「個別指導塾でバイトをしている」
と言っていた。どうやら中学受験、高校受験と、二人の受験生の授業
を担当しているようだ。
「餅は餅屋」ということなのだろう。就職に関してはたいしたアドバ
イスはできなかったけど、受験のこととなれば話は別である。
十年を一昔とするなら、「昔」から受験には携わっている。その昔には
もちろんN君の指導も含まれている。
と、いうわけで、簡単ではあったが、メールにてそれぞれの指導のポ
イントと今後の流れをアドバイスした。
すると、すぐに返信が。なんて律儀なんでしょう。件名「あどばいす
ありがとうございました。」(しかし、なぜに全て平仮名?)
メールの最後にこのような言葉があった。
『人と長期的に仕事をするのって言うのは情が入って嫌なものですね。』
クールな彼には珍しい一言だと感じた。勝手な推測だが、おそらく、
生徒達に対する『情』がものすごく芽生えているのだろう。その気持
ちはよく分かる。
四月から、彼がどんな社会人になるのか楽しみだ。塾でのアルバイト
の経験も活かしてくれると非常に嬉しい。ま、僕なんてきっと器量や
技能、仕事っぷりにおいて、すぐに抜かれるんだろうけど。
○登場する生徒名は全て仮名です。
合資会社マネジメント・ブレイン・アソシエイツ
荒木 崇(チーフ・コンサルタント)
http://www.management-brain.co.jp/

