自閉症気味の中学3年生
◇先週の火曜日に、顧問先の学習塾で、自閉症気味の男子生徒と会った。その
子は、中学3年生の受験生なのだが、学校でも塾でも初対面の人や機嫌が良く
ないと全くしゃべらない子のようで、入試の際の面接等で困るので、1回その
子を見てくださいということで、話をすることになった。
◇その彼が、塾にやってきた。私は、大きな声で、「こんにちは!」と彼に声を
かけた。その彼は、「こいつは誰だ?」というような顔つきで無視をして教室に
入っていこうとした。そこで私は2回目の「こんにちは!」を投げかけた。と
その瞬間、その彼がニコッとしたように見えた。そして、私も個別指導の教室
に入って、彼の様子を伺いながら、彼の座っている机の傍に近寄った。彼は、
英語の勉強を始めていた。
中土井:君は、英語が得意そうだね?
A君 :・・・。(私のほうを見ているが、声は出ない)
中土井:よく出来るじゃないか。君は英語が得意だろう?
A君 :・・・。(両手を使って×を作った)
中土井:えっ?英語得意じゃないんだ。そうか。君のノートを見ているときっ
と英語が出来るようになると思うな。しっかり英文書けているからね。
A君 :テストでは30点以上取ったことないんだ。(消え入りそうな声で声
を発した)
中土井:そうなんだ。でも大丈夫。きっとこの調子で頑張れば、英語は得意
になるよ。ごめんね。勉強の邪魔をして。
ちょっと話してくれたので、彼のブースから離れた。そして、10分後にも
う一度彼のブースに近づいて、今度は、趣味の話をした。
中土井:A君、趣味はなに?
A君 :・・・。(私のほうを見ながら、ノートに何か字を書いた。Wii)
中土井:ウイー?それどういうこと?
A君 :・・・。(私のほうをみながら、任・・・堂)
中土井:あ!任天堂の新しいゲーム?
A君 :そう。スポーツのやつ。
中土井:ゲームでスポーツをするのが好きなんだね。
A君 :そう。
中土井:毎日やってるの?
A君 :・・・。(僕のほうを見て、首を振った)
中土井:受験生だから、お母さんに怒られるの?
A君 :そうそう。
中土井:たまには、やりたいでしょ。
A君 :・・・。(微笑んだ)
◇こんな会話をして彼とのラポールを高めた。私が主にしゃべり、彼はそれに
反応しただけかもしれないが、私たちは、随分と打ち解けたように思う。
◇コミュニケーションは、こういうものでも全然かまわないのだ。いくら一杯話
してもお互いの中で何も生まれないのならば、コミュニケーションではないのだ。
逆に、ほとんどしゃべらなくても気持ちが少しでも通じれば、コミュニケーショ
ンと言えるのだ。
合資会社マネジメント・ブレイン・アソシエイツ
代表 中土井 鉄信

