「三者面談対策」(後編)
今回の入試制度の話は主に神奈川・東京をもとにしています。各県によ
って入試制度はさまざまであることを最初に断っておきます。
また、前回、私立高校の入試制度について簡単にご説明いたしました。
後編を読むにあたり、そちらをご参照ください。
私立高校の推薦入試、単願入試、併願入試は試験を受けられる内申点の
基準が各高校で決められていることを前回述べた。
この内申点の基準値については塾でも知ることができる。その基準を見
ながら、例えば、「君は内申点が30だから、あと2つ内申を上げれば、
A高校の併願入試の基準に達するよ」といった具合で面談を行う。
しかし、推薦入試、単願入試、併願入試について、直接、塾と私立高校
が直接やり取りをすることはできない。私立高校と中学校の間で話し合
いが行われる。内申点を定めるのが中学校であるからだ。
この、私立高校と中学校の入試相談が毎年12月に行われる。端的に言
えば、各中学でその高校の基準を満たす生徒が何人、入試(推薦・単願
・併願)を志望しているのかという話し合いが持たれるのである。
この相談日があるので、その前に中学校では三者面談を行い、進学校に
ついて生徒・保護者の意見を確認しなければならない。
公立高校はともかく、私立高校、推薦・単願・併願の各入試については
相談日に決まってしまう。よって塾としては中学校の三者面談前に私立
高校受験の方向性は決めておかなければならない。
さて、難関国私立クラスの昭雄という中3生がいた。彼の第一志望は都
内の難関私立大学の附属校である。合格すれば間違いなくその高校へ進
学する。この学校は一般入試である。一般入試の場合、内申点は関係な
いので、相談会の対象にならない。
もちろん、この一般入試で合格するという保証は当然ない。万が一に備
えて、押さえの学校を考えておかなければならなかった。
難関国私立クラスの生徒の場合、公立高校のトップ校を押さえにするケ
ースが多い。しかし、公立高校受験では、学校内申点も合格の点数に含
まれる。今でこそ本番の試験の割合を重視する傾向にあるが、それでも
内申点を軽視することはできない。
昭雄は学校の先生との相性が悪く、内申点はさほど良くなかった。その
ため公立高校のトップ校の合格には本番の得点で250点中230点以
上が必要である。確率は半々といったところだ。
昭雄は公立高校のトップ校しか受けるつもりはなく、準トップ以下なら、
併願の私立高校のほうがよいとのことであった。
整理しよう。難関私立大学の附属校が第1志望。公立トップ校
が第2志望。併願私立の学校が第3志望である。
併願を受けたいので、私立の相談会へ向けて中学校の先生の確認が必要
である。昭雄とお母さんは中学校の三者面談で上記のように高校受験を
考えていることを伝えた。
ところが、である。
昭雄の中学校での三者面談が行われた日の夜、お母さんから電話がかか
ってきた。「私立併願の受験はできない」と言われたのである。
その理屈はこうである。
併願は公立高校が第一志望の生徒が押さえとして受験するものである。
ところが昭雄君の場合、大学附属私立が第一志望であり、私立同士での
併願はできない。
公立高校を受験するので、その公立の併願受験という位置付けで全く問
題ないはずである。しかし、そのとき昭雄の担任の先生はそういう認識
ではなかった。
この後が大変であった。お母さんに何度も担任に掛け合ってもらうこと
となった。最後は「公立高校を第一志望にするから」ということで相談
日に何とか間に合った。
この経験があったから、このようにお願いするのである。
「お母さん、中学校の三者面談では、あくまで第一志望は公立のK高校
だと担任の先生に伝えてください。そして、K高校の押さえとして私立
の併願のことを聞いてください。
私立一般受験のことは『今までがんばって勉強してきたので、チャンレ
ンジとして私立のK高校とH高校の一般受験をしたい』という言い方で
お話してください。
もし受かっても『公立へ行かせようと考えている』と、とりあえず伝え
てください。そのことは実際に合格してから考えても遅くありませんか
ら」
(登場する生徒名は全て仮名です。)
合資会社マネジメント・ブレイン・アソシエイツ
荒木 崇(チーフ・コンサルタント)
http://www.management-brain.co.jp/

