カラスと空巣とガラス
◇以前、商標の保護をやっていたことがある。
欧米の著名商標をもつ企業の集まりがあって、当時偽物天国の感があった
日本の商業倫理を正そうという活動であった。
◇たとえば、海外旅行のついでに、大きな看板は有名な会社のもの
にちがいないという、きわめて単純かつ的確な判断を下した日本の
おっさんなんかが、それを気安くノートに写してきて、日本でかってに
商標登録をやらかしたりしてしまっていたのだ。
◇その後、そろそろ日本にも進出しようというわけで、自分の商標が
登録されてしまっているとは露知らず、欧米企業が日本で販売を始め
ようとしてびっくり仰天。たとえば「コカコーラ」は件のおっさんが商標権を
持っているので、ほかの名前を使いなさいということになってしまうわけだった。
◇当初は、高いお金を払って、そのとんでもないおっさんから
権利を買い戻すなんてことが行われてきたが、当然、そんなばかげた話が
続くわけもなく、国際条約を守らない無責任国家という本当にお恥ずかしい
汚名もほっとけず、さらにまた、「ZONY」「HHONDA」「HITACHE」なんていう
日本製品の偽ブランドが現れて、日本の有名ブランドがかっかとしなくては
ならなくなったということもあり、日本も、ようやくその重い腰をちょいと浮かせて、
海外有名ブランドの保護に動き出したのだった。
◇商標は、商品と消費者のコミュニケーションには欠かせないものだ。
出所がはっきりしないことには、消費者は安心して財布の紐をゆるめられない。
たとえば、大変お粗末な品質管理でたたかれている「不二家」のケーキなんか
の場合、事件までは、なんとか似たような名前をつかって暖簾のただ乗りを図って
いた会社があったとする。「不三家」とか「不二屋」とかいった商標を使って、安い
ケーキを高く売って不当な商売してもうけてきたというわけになるが、今度の事件で、
あわてて「ダロワイホ」とか「コージーホーナー」なんかに変えて同じものを売ったり
するというのが、暖簾のただ乗り商法である。
◇問題は、「不二家」と「不二屋」は、よく似ていて、消費者が混乱するかどうか
である。どのあたりから混乱が生じるのかということになるが、この二つは発音が
同じだから、まずとんでもないぞということになろう。では「不三家」はどうか、
「不三屋」ならどうかとなってくると、これは微妙ですね。
◇というわけで、カラスがガラスとかカラズ、カダスなんて命名された鳥に
文句をつけるかどうか。裁判で争そわれたらどうなるか知りたいものだと思う。
担当:関口

