顧客のニーズを形にしてみる!
『はじめに』
◇前回は、顧客のニーズの捉え方について考えたが、今回は、顧客の
ニーズを商品にする考え方について考えてみたい。
『顧客のニーズを形にする』
◇もうかれこれ40年前に、フランスの社会学者のジャン・ボードリ
アールが、「物の体系」という本の中で、消費の本質について、こん
なことを言っていた。ニーズがあるからものを買うのではない。もの
があるからニーズが生まれて買うのだと。この考え方は、私に大きな
影響を与えた。そして、その考え方が私の商品設計の発想の中にはあ
る。生徒が集まらない塾は、生徒や保護者にものを提示していないの
だ。だから、今いる生徒にアンケートをとって新しい設計を考えても、
今の設計の裏づけになるけれど、新しい設計にはあまり使えないかも
知れない。
◇最近、顧問先になった地元の老舗学習塾は、県内大手の進出で生徒
数に翳りが見え始めた。ここ数年は、その県内大手の設計とほぼ変わ
らない設計にしていたが、それでも徐々に生徒数が減り始めて、年の
暮れに私のところに依頼が来た。大手塾と同じ設計をしているのに、
なぜ集まらないのか。大手学習塾と同じ設計にしているから集まらな
いのかもしれないし、集めるための努力が大手学習塾以下だから集ま
らないのかもしれない。
◇大手学習塾と同じ設計にしているから集まらないというのは、大手
と比較検討の土俵が同じからかもしれない。大手には、アンチが多数
存在するが、そのアンチを吸収できないからかもしれない。また、集
めるための努力に差があって、集まらない場合もある。チラシの枚数・
校舎の看板、校舎の掲示など、だ。
◇話をその老舗学習塾に話を戻すと、私の目からは、集める努力が足
りないのと、設計に根拠がない。大手の真似だけだ。自塾のロジック
がないのだ。そこで、設計提案を先日したのだが、幹部10数名の半
数は、生徒アンケートを理由に反対だった。それでも何とか、新しい
設計案が折衷案として受け入れられて、2008年度からは、全面改
訂の約束を取り付けた。設計案の説明の過程で、生徒のニーズや保護
者のニーズについて話をしたのだが、そういうプロセスが、設計の時
には重要なのだ。
◇今通っている生徒・保護者の情報も重要なのだが、想定する生徒・
保護者のニーズをロジックから捻り出すことだ。社会通念上どうなの
か、地域状況上どうなのか、そういう議論をすることだ。その上で、
利便性と効果性を天秤にかけて、設計を決定していく。こういう議論
を実は、数時間するべきなのだ。この顧問先では、時間が足りなかっ
たので、通算4時間ほどしか出来なかったが。それでも、従来の議論
と違う議論だったらしい。
◇ニーズを形にするということは、生徒・保護者の行動を予測すると
いうことだ。部活動で、これない時間帯なのか、それとも部活動と夕
食でこれない時間帯なのか。こんなことも峻別しながら、私たちは、
新たな設計をしていかなくてはならないのだ。
『経営者の視点』
◇何を根拠に経営の基盤を作るのか、私たちに課せられた使命だ。
顧客のニーズに応えることも大切だが、顧客のニーズを喚起する設計
を考えることも大切なことなのだ。顧客のニーズに後追いばかりして
いるといつまで経っても二番煎じになってしまうかもしれない。
合資会社マネジメント・ブレイン・アソシエイツ
代表 中土井 鉄信
http://www.management-brain.co.jp/

