少子化問題は文明論の問題だし、教育問題だ!
【記事】少子化戦略 脱「押しつけ型」に変化 出生率より支援策
朝日新聞(2007年2/10)より以下抜粋
『少子化問題に取り組む「子どもと家族を応援する日本」重点戦略
検討会議(議長・塩崎官房長官)が9日、首相官邸で初会合を開い
た。政府が目指してきた「出生率向上」を前面に打ち出すことは控
え、結婚や出産に対する「国民の希望」を支援する姿勢を強調。女
性を「子どもを産む機械」と例えた柳沢厚生労働相の発言の影響も
手伝って、「押しつけ型」対策からの転換を図った形だ。
○安倍首相は会議冒頭で「結婚や出産に関する国民の希望が実現す
るには何が必要であるかに焦点を当て、効果的な対策の再構築を図
らなければならない」と述べた。会議のメンバーからも「決して目
標ではないという考え方が非常に大事だ」との意見が出た。集中砲
火を浴びている柳沢氏も、国会審議で国民の「希望」をかなえる政
策の必要性を強調していた。
○首相が官房長官時代の昨年6月にまとめた「新しい少子化対策」
では、学生ベビーシッター育成や児童手当の乳幼児加算など40項
目の対策を列挙。「思いつく施策は何でも盛り込んだ」(内閣府幹
部)結果、新年度の少子化関連予算案は前年度比12%増の1兆7
000億円に膨らんだ。
○ところが、「総花的でメリハリがない」との批判に加え、財政的
な裏付けや企業や労働界との連携も不十分だった。これまでの対策
でも、必要な人に行き届かない「押しつけ」政策が見られたという
指摘もある。
○その反省から、今回は結婚の有無や子どもの数など段階に応じて
政策に優先度をつける「傾向と対策」を進める。9日の会議では「
これまでの対策は効果が十分に出ていない。原因の分析が必要だ」
との意見が相次ぎ、首相自ら「結婚や第1子出産には経済的基盤、
第2子は家事・育児の分担、第3子以降は教育費負担の軽減が重要
」と説明。また、尾身財務相は「これまでの少子化対策は予算が少
なかった」と述べ、予算拡大に含みを持たせた。
○会議は今後、経済支援や働き方の改革、地域・家族の再生などに
ついて四つの分科会で議論を深める。6月中には「骨太の方針20
07」に反映する基本的な考え方をまとめ、年内にも全体像を示す
予定だ。』
*私からのコメント
◇少子化対策をしっかり取らないと、日本は大変なことになる。そ
ういう認識は、随分と前からあったはずだが、政府はあまり良い手
を打ってこなかった。しかし、この問題は避けることが出来ない問
題だから、とうとう政府も本腰を入れることになったのだろう。そ
れがこの記事だ。しかし、この記事からはあまり良い手を打てそう
な気がしない。これから議論が深まってよい手が出てくるのかもし
れないが、この記事からはその片鱗もうかがえない。
◇少子化問題を考える時に大切なことは、まず文明論をしっかり押
さえて議論することだと思う。文明論を押さえずして、出生率の向
上だ、生活援助だといっても、人間の行動や心の傾向性の変化、生
活の変化、価値転換を視野に入れた議論をしておかないと、結局は、
対策をやりましたよ!というアリバイ証明で終わってしまうように
思う。
◇人間の意思決定に非常に大きな影響を及ぼす文明論的な思考を理
解して、対策を立てることが重要だ。たとえば、なぜ結婚して子ど
もを産もうとしないのかを文明論的に考えたら、家族関係の変容や
老人対策の充実(以前よりは充実しているという意味で)、そして
子どもという得体の知れない存在が、理由として挙げられるだろう。
◇これは一例だが、こういう要素を議論して総合的な対策を段階的
に長期にわたって打っていかない限り、少子化には歯止めはかから
ないと思う。長いスパンの対策になるはずだ。それを短期間で考え
て成し遂げようと思うのは、大きな間違いだ。哲学なくしてグラン
ドデザインは活きないはずだ。
◇教育問題も、少子化対策にとって非常に大きな問題なのだ。教育
再生会議は今の教育について考えているけれども、もっと大きなス
パンで教育を考えることをしない限り、少子化問題の解答も出てこ
ないどころか、今の解答すら出てこないと思う。長い年月をかけて
人間の行動や心の傾向性を変えていかない限り、少子化問題は解決
しないのだ。つまり、それは教育の問題なので、子育てに対する指
針を明確に示さない限り、人は安心して子どもを産もうとは思わな
いはずだ。
合資会社マネジメント・ブレイン・アソシエイツ
代表 中土井 鉄信
http://www.management-brain.co.jp/

