事実と私的解釈
◇以前から、学校や学習塾の先生から、よく「基本的なテストでも、
全部間違っているような褒めるところが全くない生徒をどうやって
褒めたらいいのですか?」と言った相談を受けます。
あなたなら、この相談に何と答えますか?
◇大抵の人は、困ってしまうのではないでしょうか。それは、私たち
が言葉の罠にはまってしまうからです。
◇まるで、事実のように話されていますが、話し手の私的解釈によっ
て事実が捻じ曲げられているのです。前の文の何処に私的解釈がされ
ているかおわかりですか?
◇最初の文では、「褒めるところが全くない」という言葉です。そも
そも、この話し手が、「褒めるところがまったくない」と断定している
のに、「どうやって褒めたらいいですか」というのはおかしな話です。
◇こんな時は、「あなたは、何を根拠に全く褒めるところがないと考え
ているのですか?」と質問を投げかけると解決の糸口が見つかること
があります。
◇もしかしたら、「一問でも合っていれば、褒められますけれど、全問
間違えだから褒めるところがないと思います」という答えが返ってくる
かもしれません。
◇そうしたら、あなたは、「合っているか間違っているかという視点
では、褒めるところがないということですね。」
「それでは、合っているか、間違っているかという以外の視点に立っ
たら、何を褒めることが出来ますか?」と質問することもできます。
◇これによって、新しい視点を模索して、褒める材料を探そうとする
可能性が生まれ、最初の相談の答えが見つかる可能性が出てきます。
◇さて、今回、注目してほしいのは、最初の質問、「あなたは、何を
根拠に全く褒めるところがないと考えているのですか?」です。
私的論理の部分を「あなたは」を主語にして明確にしているのです。
◇私的論理に注目することで、事実との違いを明確にして、
主観の歪みを浮き彫りにしていきます。
◇是非、事実と主観の聞き分けに意識を向けて、主観的解釈の根拠
をたずね、歪みを明確にする質問も使ってみてください。
合資会社マネジメント・ブレイン・アソシエイツ
井上 郁夫(シニアコーチ・心理カウンセラー)

