沖田 世寿
人は
ひとつ気付くたびに
ひとつ傷ついて
ひとつ手に入れるたびに
ひとつ失っていく
◇最近、ある人から詩集をいただいた。その詩集の中にある作品が、今日
の言霊だ。「真実」と題されたこの詩。私が昔から言っていた「気付く」=
「傷つく」が、こんなに素直に、そしてこんなに素敵に表現されていて、
なんだか嬉しくなった。
◇人間は、自分のどこかに気付きながら、気付いた瞬間に自分の情けなさ
や不甲斐なさに傷つきながら、何かを獲得した瞬間に何かを失いながら生
きていくものだ。人生の真理を獲得した瞬間に死が待っているように、人
間は死に向かって生きていくものである。だからこそ、何かを一つ一つ成
し遂げるということは、死に向かって喜んで歩んでいくことなのだ。
◇この詩集を書いた沖田世寿氏は、医者から余命1年とガン宣告をされた
教育者だ。今から6年前の3月8日にその宣告をされてから、死と向き合
う為に詩を書き出したという。詩を書くことで自分自身と向き合って、死
を迎える準備をしたのだろう。彼の詩を読むと有限である人間の無限の可
能性を感じる。いかに自分自身の命の自覚と決意が大切なものかを彼の詩
集は教えてくれる。
◇私たちは、死する存在なのだ。一人ひとりの命の長さは違うけれど、死
ぬことは何人も逃れられないのだ。そうだとすれば、彼の覚悟を私たちも
共有したいものである。
◇死ぬ存在である人間として、喜んで死に向かって生きていきたいもので
ある。
合資会社マネジメント・ブレイン・アソシエイツ
代表 中土井 鉄信

