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カラスの亭主の気持ちはよくわかる

事務所近くのホテルの前に、カラスが愛の巣をかけたのだが、
巣が完成したらどこかへ消えてしまった。

葉がすっかり落ちた並木にかけたので、愛の巣は下から丸見えだし、
ホテルの5階あたりからは、鼻を突き合わすように巣が見えてしまう。

きっと、じろじろ見られるのに閉口してどこかへ転居してしまったのだろう。

 

我が家の近くの橋の袂にある並木のひとつにも、
カラスが巣をかけた。

先日、その下を通ったら、天から針金が落ちてきたので
それに気がついた。

見上げると、嫁さんが木の枝をくわえて仁王立ちしたまま
亭主をにらんでいた。

針金を巣作りに使ったのはどうも亭主のほうらしい。

亭主は、面目なさそうに、少し離れた枝に止まってうなだれていた。

しばらくの間十分にらみを効かせてから、
嫁さんはおもむろに運んできた大切な枝を建築中の巣に
ぐいぐい器用に差し込んで、

「アーーン、コーヤルノヨーアンタ」

 といった。


 人間の男にもメカ好きが多いところを考えると、
カラスの亭主がピカピカ光る針金を運んできた気持ちはよくわかる。

ひょっとすると、パソコンの部品とか、壊れた腕時計とか、
ipodのケースとかも運び込んできたに違いない。

でも、どれもこれも嫁さんに捨てられたに決まっている。
なんだか、どこかの誰かによく似ている。
そう思いませんか、皆さん。


担当:関口

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