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« 大山 康晴 || 山岡 荘八 »

「スタート」

紆余曲折を経て、4月から社会人の仲間入りを果たした教え子のN君。
彼が社会人になる前の最後のアルバイトが個別学習塾の先生だった。


保護者の方々の中には、学生のアルバイトの先生を嫌がる方も
いらっしゃる。


『学生=未熟』というイメージがあるのだろう。アルバイトなので
片手間にやられるのではないか、という心配もあるのだろう。

そういった心配はとてもよく分かる。しかし、若い彼らは、若いがゆ
えに正義感に溢れ、生徒のために一生懸命に指導くれることが多い。


「学生だから先生に向いていない」のではなく、学生だろうが、社会
人だろうが、向いていない人は、向いていないのである。そういう例
を何人も見てきた。

N君の話に戻そう。


彼も生徒にとって、非常に良き先生であった。彼自体が長年学習塾に
通ったこともあり、自分の経験と照らし合わせて、生徒にとっての
「ベスト」を模索していた。


彼は中学受験を失敗しており、そういう心の痛みを知っているのも良
かったのだろう。


「室長の考え方がおかしいと思うんですが、どう思います??」とい
うメールをもらったこともあった。


結構、「ドライな性格なヤツ」だと思っていたのだが、人が変わったの
か、それとも、それを成長呼ぶのか、「非常に熱い好青年」になったの
は間違いない。


そんな彼が、塾の講師を終えたその日、僕にメールをくれた。

『今日は塾の先生をした感想を。


先生がこの仕事にはまった気が良く分かりました。長い期間生徒と時間
を共にすると、この俺でも情ってものが湧くのだなとつくづく対人の仕
事の恐ろしさを感じましたよ。


それだけに、今見ている生徒を受験まで見送ることができなくて非常に
残念です。


(中略)


しかし、手紙を書くことでもう思い残すことは無いところまでこの仕事
をやりきった感はあります。


(大体、そんなめんどくさいことをやろうと思わざるを得ないところま
で自分が人に尽くす人間だったことに非常に驚きです。)


逆に、生徒から最後に手紙をもらって、胸が熱くなるなんてことも不思
議でたまらなかったです。


加えて、生徒を教えることによって俺が学んだことが非常に多かった。
生徒は良き師でした。8:2で反面教師のほうが多かったけど(笑)


勉強の面倒を見ることを通じて学問の楽しさを逆に教わった気がしまし
た。何で、勉強しなきゃいけないのかも考えさせられた。矛盾すること
が正解になることも知れた。


社会に出る前に「先生」という仕事にめぐり合えて本当に良かった。少
しは、生徒に希望を与えることができたと思います。(以下略)』


立場はどうであれ、彼は学習塾で学び、立派に成長して卒業した。「生
徒が良き師である」だなんて・・・。

彼が就職した大手の会社は、最近、ちょっとごたごたがあり、彼にとっ
ても多難な船出であろう。


まぁ、でも、彼なら何とかやっていけるだろう。社会人として同じ立場
に立った僕も、彼以上に踏ん張らねばならないのである。


(登場する生徒名は全て仮名です。)


合資会社マネジメント・ブレイン・アソシエイツ
荒木 崇(チーフ・コンサルタント)

http://www.management-brain.co.jp/

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