「偏差値」(後編)
○前回のあらすじ
小学4年生の女の子で中学受験を考えていらっしゃる
お母さんのお話をうかがった。
友人の、知り合いのお子さんがY学園にお通いになっているらしく、
Y学園の受験を考えていらっしゃるとのこと。
お母さんは「偏差値は50くらいですよね?」という
ことをおっしゃった。
学校の偏差値は、その年によっても、そして学習塾によっても異なる。
偏差値は、あくまで、その「母集団」での自分の位置を表したものに
すぎないのである。
それでは考えてほしい。
二つの学習塾において、同じY学園が、A塾では偏差値60であり、
B塾では偏差値50である。それはどうしてだろか?どのようなこと
が考えられるだろうか?
その母集団における平均点が偏差値50であることは述べた。そこで、
仮に、A塾とB塾で同じ内容のテストを行い、それぞれの塾で偏差値
を出したとしよう。
母集団Aでの平均点が40点だった場合、Aに所属する生徒は40点
を取れば、偏差値は50となる。この集団の中で80点をとったとし
たなら、偏差値は軽く60は超えるだろう。
ところが、母集団Bでは、平均点が80点だった。Bに所属する生徒
は80点を取っていないと偏差値は50とはならない。たとえ、90
点だったとしても、「偏差値的には」さほど高い数値とはならない。
このケースで、B塾で偏差値50の生徒がA塾へ移籍した場合、当然
A塾では偏差値50ではなくなる。A塾での偏差値50の得点は40
点であるから、元B塾の生徒は50よりも高い偏差値となる。
さて、同じY学園がA塾では偏差値60であり、B塾では偏差値50
であるカラクリもおおよそ見当がつくのではなかろうか。
A塾内で行われるテストで、A塾の生徒を母集団とした場合、A塾の
生徒にとって、Y学園は「A塾での平均点以上」を獲得していないと
合格は難しい学校である。
一方、B塾内で行われるテストで、B塾の生徒を母集団とした場合、
B塾の生徒にとって、Y学園は「B塾の平均点」で合格可能な学校で
ある。
つまり、同じ偏差値50でも、B塾でのそれのほうが、学力的なレベ
ルは高いということであり、それだけ、勉強の得意な生徒がB塾には
多いということになる。
「Y学園って偏差値は50くらいですよね?」とおっしゃるお母さん
からは、言外に「だからちょっと頑張れば合格できるでしょ」という
ニュアンスを感じ取れた。
ちょっと長くはなるが、このような「偏差値」の話をし、もちろん、
目安として考えなくてはならないが、あまり当てにしすぎるのも良く
ないということをご説明した。
偏差値に一喜一憂するのではなく、テストの得点状況、解答の中身自
体を吟味することをお勧めしたい。
(登場する生徒名は全て仮名です。)
合資会社マネジメント・ブレイン・アソシエイツ
荒木 崇(チーフ・コンサルタント)

