「歌詞」(前編)
勉強が大好きで、だから塾に来ている。そんな生徒は数えるほどしかない
のではないか。
多くの生徒は、「受験のため」や「成績を上げるため」に塾に来る。
また、「親が行けと言うから」と理由も少なくないように思う。
「やらなくていいのなら、勉強なんてしたくない!」というのが彼らの本
音だろう。かく言う僕もそうだった。
だから、授業もあの手、この手で興味付けをしなければならない。ただテ
キストに書いてあることだけを教えていても面白くはない。
若かりし頃、「詩」の授業で歌詞を使って授業を行ったことがある。
比喩だの、倒置法だの、体言止めだの、を教えるのに、歌詞の中からそう
いう技法が使われている部分を探させようと思ったのだ。
興味を引くとともに、普段、彼らが好きなアーティストの曲を聴いたとき、
「体言止めだ!」なんて思い出してくれたらいいな、と思ったのである。
現に、ラップは脚韻(句末、行末で類音・同音を反復すること)となって
いるのが約束であり、「頭韻」、「脚韻」といった用語は塾のテキストにも登
場していた。
実際の授業では、比喩や体言止めなどの解説をまず行い、「これらの表現技
法が使われている部分を探してみよう!」と言いながら、あらかじめ用意
しておいた歌詞のコピーを配布した。
生徒の食いつきも悪くはないだろうと思ったのだが、実際はそれほどでも
なかった。
生徒はたんたんを線を引く。目を輝かせて、というわけではない。
「やはり、彼らには古かったか・・・」
用意した歌詞を見ながらふと思った。
(登場する生徒名は全て仮名です。)
合資会社マネジメント・ブレイン・アソシエイツ
荒木 崇(チーフ・コンサルタント)

