「対決」(前編)
子供たちにとって学習塾という場所は、実は学校よりも多様な世界なの
かもしれないと思う。
空き教室で中学生が中間テストのための自習をしているかと思えば、同
じ教室で小学生が個別課題に取り組んでいる。
「この子、いっつも一番だよね、すごいね!」
小学生の模擬試験の順位表を見ながら中3の女の子たちが話している。
小学生にとっての中学生、中学生にとっての小学生。お互い、なんとな
く刺激になる部分もあったりするのではないか。
授業前、空き教室を覗くと、その日も中学生と小学生がその日も一つの
空間で自習をしていた。
中学生は2年生の涼子と香織。塾の数学の宿題プリントをやっているら
しい。
小学生は6年生の翔平。中学受験生だ。ノートに一生懸命、漢字を書い
ている。どうやら、前日行った漢字テストの間違い直しをしているよう
だ。
10分も経っただろうか。職員室で授業準備をしていると、自習教室か
らはしゃぎ声がする。明らかに涼子と香織の声である。
翔平は黙々と漢字を書いているというのに。
「どうした、君たちのでかい声が聞こえてきたぞ!」
涼子が言う。
「もう、プリント終わっちゃった」。
「他に何かやることないのか?」
「う~ん、特にない」と香織。
翔平の邪魔になるから、おしゃべりするな!
おしゃべりするんだったら、帰れ!
と言うこともできたのだろうが、せっかく翔平もいることだし、彼女
たちに刺激を与えてやろうと思った。
○後編に続く
(登場する生徒名は全て仮名です。)
合資会社マネジメント・ブレイン・アソシエイツ
荒木 崇(チーフ・コンサルタント)
http://www.management-brain.co.jp/

