湯川 秀樹
現実の根底にある自然法則に気付くのは達人で、
現実の根底にある自然の調和に気付くのは詩人である。
◇私たちが、詩人にあこがれるのは、詩人が日常の中にある、真理を感
動的に伝えてくれるからだ。私たちでは見えない日常を支える根本的な
もの、根本的なことを美しくも、力強い言葉で伝えてくれる人、それが
詩人だ。
◇そして、詩人は、その根本的なものやことに対して、戦いを挑んだり、
変革を促したりしながらも、結局は、その根本的なものやことと折り合
いをつけて、自然体で生きよと教えてくる。だから、詩人は、私たちの
傍にいてくれるのだ。
◇それに比べて、偉大な科学者は、自然法則を発見して、その法則を乗
り越えようと必死に様々なことを企て、その企てで私たち人間と文明を
引っ張っていってしまう人だ。
◇しかし、その企ては、最終的には、失敗に終わる企てだ。それは、至
極簡単な理由ゆえに、誰も意識することはなかった。
◇科学者の企てが必ずいつかは失敗する理由は、自然の法則を超えて、
地球の全てのものが、生きてはいけないものだからだ。自然を超えて、
人間の生がない以上、自然法則を超えた企ては、必ず失敗に終わるもの
なのだ。
◇その意味では、近代が、科学の時代だったことが、私たちには不幸な
ものだったのかもしれない。
◇今求められているのは、詩人の志向=思考だ。自然と共に調和する志向
=思考だ。この言霊が、科学者である湯川秀樹のものだという点を私た
ちは、忘れるべきではないと思う。
合資会社マネジメント・ブレイン・アソシエイツ
代表 中土井 鉄信

