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「がんばる」

漢字練習ノートを返したら、絵美(小5受験)の喜ぶ声が聞こえてきた。
そうか、そんなことでもやっぱり嬉しいんだな、と改めて感じた。

ちょっとした言葉の違いでも相手が抱く感情は随分と異なる。たかが一行程
度のことでも。

生徒のノートを見る機会が実に多かった。


授業中には生徒の演習問題の解答状況を確認し、授業前には宿題や漢字練習
ノートをチェックする。中学受験生は、9月以降、過去問題演習ノートを提
出するので、その中身も確認する。


以前も書いたが、そういうわけで、名前が書いてなくても誰の書いた字なの
か、100%当てることができるぐらいだった。


さて、たいていは「OK!」と書いてスタンプを押すだけだったが、チェッ
クしたノートには、余裕があれば何か一言添えるようにしていた。

絵美の漢字ノートには毎回びっしりと丁寧な文字で漢字が並んでいた。
僕が添えた一言は「がんばってるね」だった。


「うわぁ、『がんばってるね』って書いてある!」


絵美はそう言って喜んでいた。

僕たちがよく使う「がんばれ」という言葉。裏を返せば、「君はまだま
だがんばりが足りないよ」とか「もっとがんばってほしいなぁ」とい
う意味になって伝わることもある。


「がんばれ!」と言われて発奮する者もいれば、「もう十分がんばって
るのに・・・」としょげてしまう者もいるだろう。


「がんばってるね」は僕の本心だった。今の君がやってることを感心
して、認めてるよ、というメッセージを送るつもりで書いたのだ。


ちょっとした言葉の違い、生徒を喜ばせたり、怒らせたり、悲しませ
たり。


気を使いすぎもよくないが、やはり、言葉には多少臆病であってもい
いのかもしれない。


(登場する生徒名は全て仮名です。)

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◇◇◇Global Thinking and Local Acting◇◇◇
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