セミナー報告!『学習塾の実践から学ぶ保護者対応術』
社会問題ともなっている保護者対応術
8月1日(水)特定非営利活動法人ピースコミュニケーション研究所(以下、PCI)が主催、神奈川県教育委員会と社団法人かながわ民間教育協会が後援、合資会社マネジメント・ブレイン・アソシエイツが協力する第一回教師サポートセミナーが、「きゅりあん」(東京都品川区)を会場として実施された。
ピースコミュニケーション研究所は、人類の相互理解を深めることを通じ世界平和を実現することを目的とした設立されたNPO法人で、今回のセミナーは教育の最前線で活躍する教師のコミュニケーション技術の向上をはかるため企画されたもの。
『学習塾の実践から学ぶ保護者対応術』と題された本セミナーで取り上げられたテーマは、現在、大きな社会問題ともなっている教師と保護者との関係だ。
「モンスターペアレント」など、保護者からの理不尽なクレームが増加した背景には、教師と保護者の信頼関係の欠如、コミュニケーション不足があると指摘される。本セミナーでは、その改善策として、長年、市場競争にさらされ保護者との良好な関係を模索してきた学習塾での実践的な保護者対応術が紹介された。
セミナーには、現職の小中学校の先生だけでなく、将来の教師を目指す教育学部の学生などが多数参加。時事的な話題ということもあって参加者の間で白熱した議論が交わされ、実り多い時間が流れていくこととなった。
「教育サービス」とは何か?
午前10時からスタートしたセミナーで、冒頭に壇上に立ったのはマネジメント・ブレイン・アソシエイツ代表の中土井鉄信氏。同氏は保護者のクレームが増えた要因を、社会の変化という大きな視点でとらえ、価値観の多様化や消費者意識(保護者)からその背景を解き明かしていった。
この説明の中で、参加者一同が頷いていたのが、「教育サービス」と通常の「サービス」の本質的な違いだ。
「たとえば、レストランで料理を注文をすれば、注文があったメニューをすべてテーブルに出すのがレストランの基本サービスですよね。もし、『お客さんには○○というメニューは出せません』と店のスタッフが答えれば、お客さんからクレームがでます。これが通常のサービスです。しかし、『教育サービス』では違うんです。レストランの例で話せば、『食べ合わせが悪ければ下痢になりますよ』、あるいは『健康上、脂肪分が取りすぎですね』、などと言うことが必要となるんです」
両者のサービスの違いの核心は、『指導性』の有無にあると言う。教育サービスでは、すべてを良しとするのではなく、指導性をもって「お母さん、もっとお子さんを褒めなきゃダメですよ」などと、より高い見地から、指導性を発揮する必要があるというのだ。教師は、保護者の要望をすべて受け入れるのでなく、時にはそれを断乎として拒絶し、より良い方向に子どもの将来を導くサービスを提供する義務があるのである。
さらに中土井氏は、「自分たち(先生)ができること」と「自分たち(先生)ができないこと」の枠組みを学校がスクラムを組み構築することが、保護者対応では不可欠であると強調。参加者の女性教諭が、「教育者は毅然とした態度が必要であることを改めて認識しました」と頬を紅潮させながら話していたのが印象的であった。
笑いに包まれたワークショップ
昼食後に、教壇に立ったのがコーチング及びカウンセリングの専門家であるマネジメント・ブレイン・アソシエイツの井上郁夫氏だ。午前中の中土井理事長のセミナーが〝理論編〟であったとすれば、午後からの井上氏のセミナーは、〝実践編〟。『学級懇談会』や『個人面談・家庭訪問』といった具体的なケースを想定し、それを成功に導くためのノウハウが披露された。
井上氏の講義は、ワークショップを取り入れたもので、4~5人程度のグループを作り、「学級懇談会を自由に企画して下さい」などといったテーマをもとにして、参加者間でのディスカッションが促進された。
また、コーチング技術として「傾聴」を重視してもらいたいとの旨を力説。保護者との会話での相槌の打ち方や、アイコンタクト、相手の言葉を繰り返す「バックトラック」などのコミュニケーション技術が紹介された。
最初は緊張気味であった参加者も、ワークショップが終盤を迎える頃にはすっかりとリラックス。会場は和やかな笑いに包まれ、質疑応答の時間では、活発な意見交換が行われる結果となった。
セミナー後に書いていただいたアンケートを見ると、
「今、学校で、保護者との対応に苦慮して職員会議などが開かれているんです。しかし、保護者も、私たち教員も、子どもの成長を願うということでは同じ地点に立っているんですね。そんな両者がいがみあうのは本来あってはならいこと。プロの教師として保護者対応も含めたコミュニケーション技術を今回のセミナーを参考として磨いていきたい」との熱いメッセージが寄せられていた。
第二回セミナーは、『学習塾の実践から学ぶやる気を引き出す授業術』
ピースコミュニケーション研究所(PCI)では、ご好評をいただいた第一回に引き続き、第二回教師サポートセミナーを秋に開催予定だ。保護者の信頼を得るにはより良い授業を行うのが基本という教育の原点に立ち返り、『学習塾の実践から学ぶやる気を引き出す授業術』と題された三回連続のセミナーを行う。
1.9月29日(土)【生徒のやる気を引き出す授業パフォーマンス】
2.10月20日(土)【生徒の興味・関心を引き出す授業展開】
3.11月10日(土)【達成感のある授業】
時間:13:30~16:30
会場:1回目、2回目東京都立産業貿易センター浜松町館 3回目大崎南部労政会館
費用:1回につき、1500円(資料代として)
お問い合わせは、ピースコミュニケーション研究所
TEL / FAX:045(651)7030
peacecom@tbu.t-com.ne.jp
まで。

