瀬戸内 寂聴
生かされているのですから素直に有り難いと思いましょう。
生きている値打があるから生かされているのですもの。
◇私には、小さい時から、誰かに生かされていると言う意識があった。
父親や母親が、常日頃からそう言っていたこともあるが、小学校5年の
夏に得体の分からない病気にかかってからそう思うことが非常に強くな
った。
◇医者から2・3ヶ月は外出禁止だと言われてから、母親が方々の
医者や民間療法を探しては連れて行ってくれたおかげで(かどうかは分
からないが)、10月の初めごろになって、ころっと直ってしまった。
結局、病気の正体はその当時分からずじまいだったのだが、何かを幼い
ながらに感じた。
◇だから、今日の言霊は、スムーズに理解できる。私たちは、世の中に
必要だから、生きているのだ。特定の誰かから必要だというのではない。
世の中として必要だから、生かされているのだ。
◇だからこそ、自分の人生は自分だけのものではない。他人と繋がって
自分の人生になってしまうものなのだ。その中で、自分の人生だから自
分で決定しなくてはならないことを決定していくのだが、しかし、その
決定材料には、他人や未だ見ぬ誰かのことが含まれているはずだ。この
ことに思いを馳せよう。
◇私たちは、生きているし、生かされている。そのことを自覚して生き
ていこう。そうすれば、独善的な生き方からは、逃れられるはずだ。人
それぞれに価値ある人生なのだから。

