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大江 健三郎

たとえ、問題がすっかり解決しなかったとしても、じっと考える時間を
持ったということは、後で思い出すたびに意味があったことがわかります。

◇私たちは、時間に追われて、じっくり何かを考えることが少ない。い
や時間に追われているだけではない。色々な誘惑にけしかけられて、つ
いつい自分のやるべきことを忘れようとしてしまう。


◇そして本当に忘れてしまえば、もう自分の頭は、停止状態になってし
まうのだ。自分でじっくり自分自身のことすらも考えられなくなってし
まうから。


◇だから、何か問題が起こって、日常生活の時間の流れを断ち切ること
になれば、実はそれだけで、チャンスになるのだ。判断停止状態から抜
け出せる機会だからだ。問題解決のために私たちは、今まで使ったこ
ともないような色々な知恵を引き出そうとするだろう。


◇そうやってもがいたことは、それだけで、自分の成長にとっては、非
常に良いことなのだ。だから、今日の言霊も「後で思い出すたびに意味
があった」ことが分かると言っているのだ。


◇日常生活の惰性を切断してくれるトラブルを私たちは、心の中で歓迎
しよう。問題が起こっても、その問題は、どこかの次元で必ず解決する
ものだ。解決しない問題なんてないのだ。だから、その問題を自分を変
える一つのきっかけだと考えよう。それが、人生における問題発生の大
きな意味だ。問題のある人生だからこそ、人間は大きくなれるのだ。

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