「誤解」
一体どこからそんな考えを仕入れてくるのか。子供同士の会話を聞いてい
ると、そんなことを思う瞬間がある。
マスコミの影響も多少はあるのだろうが、やはり、お母さんやお父さんの
影響が一番強いように感じる。
小学5年生(中学受験)の3人に対し、補習授業を行ったときのことだ。
いつもの授業の後に補習授業を実施したため、帰りがいつもより遅い。外
も暗くなってきたので、駅まで送っていった。
健治、孝太、泰造の男子3人と僕。駅までの約5分間。子供たちを先に歩
かせ、僕は後ろからついていく。
口を切ったのは健治だ。二人にこんな質問をふった。
「男子校にする?共学にする?どっちがいいいかなぁ」
おぉ、志望校の話。普段はやんちゃで、お調子者だが、ヤツはヤツなりに
いろいろ考えてんだな、とちょっと感動。
「やっぱさぁ、共学でしょ」。
孝太が応じる。意外ですなぁ。孝太は共学志望か。気の合う男同士がいい
ぜ、みたいに思っていたのだが。
「そっか、でも、男子校のほうが良くない?」
健治が言う。どっちがいい、と聞いたのは「男子校」と答えてほしかった
からなのかもしれない。
「絶対共学だよ」と孝太がさらに応じる。「だってさぁ、男子校だと恋で
きないじゃん!!」
・・・。言い切りやがった・・・。男子校でも恋は出来ると思んだけど・・・。
しかも、なんだよ、その不純な動機。ま、オレは嫌いじゃないけど、そ
ういうの。
「えぇ~~~。い、いいじゃん、恋できなくたって」
健治、お前、何照れてんだよ。だから、男子校でも恋はできるって。
「ダメだよ!恋できなくって、一生独身になっちゃうぞ!!」
孝太、お前、なんでそんなに「恋」に対して熱くなってんだ?何があっ
たんだ??
「う~~ん、そっか・・・」
健治、「そっか」じゃねぇよ。単純すぎるぞ、お前ら!どうする?そろそ
ろ口を挟むべきか。いや、面白いから、もうちょっと放っておこう。
「え~、でもさぁ」
二人のやり取りを聞いていた泰造がようやく口を開いた。
「でもさぁ、独身のほうが気が楽でいいじゃん。自由だしさあ」
泰造くん、キミに独身男の何が分かるっていうんだぁああ!!!
果たして彼らは、「恋」を求めて共学に進むのだろうか。
それとも気楽な独身生活を目指して男子校に進むのだろうか。
(登場する生徒名は全て仮名です。)

