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「上から」(前編)

意表を突かれた。「うん?どうしてオレの名前が出てくるんだ?」

確かに、そこには『荒木先生がいい』と書いてある。本来、そこに僕の名
前が出るはずがないのに。


そのとき、僕は生徒の授業アンケートの集計結果を見ていた。授業アンケ
ートは学期に1回実施される。普段の先生に対する生徒からの通信簿みた
いなものだ。


アンケートは、「先生の説明は分かりやすいですか?」、「先生の授業は面
白いですか?」、「先生から熱心さを感じますか?」、「先生の板書は見やす
いですか?」などの項目を五段階で評価し、その他に自由記述欄がある。


「いつも生徒に偉そうなことばっかり言っているので、たまにはこうい
う機会があってもよいだろう」なんてなかなか素直には思えないが、日
ごろの自分の授業を客観的に分析するにはいい機会であることは間違い
ない。


「オレの授業はすごいんだ!」といくら自分が思ってみたところで、受
け手である生徒が「全然ダメじゃん!」と思っているのなら、ただのお
山の大将であり、一人相撲であり、裸の王様だ。


もしかしたら、自分も「あの先生、裸だよね!」と実は陰で言われてい
るかもしれないのだ。


だから、集計結果を見るのは緊張でどきどきである。ところが、そのと
きは、実は、自分の結果を見ていたわけではないのだ。


授業アンケートは、各クラス、受け持ちの先生ごとに行われる。その集
計はクラスごとに行われ、先生は自由に閲覧できるようになっていた。


自分の評価はもちろんのこと、他の先生方に対するアンケート結果も当
然、気になる。人気のある先生がどんな授業をしているのか見てみたい
し、秘訣を教えてもらいたい。


というわけで、小学生から順番に見ていき、中1のあるクラスを見てい
たのだ。その「自由記述欄に書かれた意見」のところで僕の名前を発見
した。


ところが、そのクラスで僕は授業を担当していない。しかも、その意見
は「英語の授業」に対するものとして書かれていたのだ。僕は授業のほ
とんどが国語であり、英語は、中2で週1コマ担当するだけだ。


「なんでかな・・・」。振りかえって接点を探してみる。
あった。一つ。
「もしかして、あれ、か」。


次回へ続く。
(登場する生徒名は全て仮名です。)

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     ◇◇◇ Global Thinking and Local Acting ◇◇◇
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