「モチベーション」(後編)
○前回のあらすじ
小4あたりから中学受験勉強を始めるご家庭が多いだろう。
ただ、小4は学習に対するモチベーションを維持させるのがなかなか
難しい。
そんな小4に関することで、先日、ある中学受験塾の先生からこんな
話を聞いて、なんだかちょっと悲しくなった。
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小4を担当していたとき、明日香という生徒がいたそうだ。
授業のノートをお母さんが毎回必ずチェックする。
別にノートをチェックするのは珍しいことではない。
「どんな勉強しているんだろうか?」
「先生はどんな指導をしているのだろうか?」
「うちの子は理解しているのだろうか?」
など、親なら当然知りたいはずだ。
しかし、明日香のお母さんは、ただのノートチェックだけにはとどま
らなかった。
仮にその担当の先生をA先生としておく。A先生が担当になった二回
目の授業のことだ。
記述問題を机間巡視しながら、チェックしていく。明日香のノートを
覗くと、○の上に大きく×がしてある。それは、前回、授業中にやっ
た記述問題だ。
明日香の記述を○したのはA先生自身である。では、×は?
「これ、どうしたの?」
気になったA先生は明日香に尋ねた。明日香は答える。
「お母さんが・・・・」
A先生の○をした上から×をしたのは明日香のお母さんだった。
明日香が書いた記述の解答が模範解答と異なっている。それなのに
○がしてある。基準が甘い。これが×をした理由である。
A先生も全く間違っているのに○をつけはしない。ただ、だいたい
の趣旨が合っていれば、多少の違いは目をつぶって正解としている。
枝葉末節にこだわってやる気をなくさせては意味がない。○をして
あげて、生徒のモチベーションを維持しようという狙いがある。
細かい部分は小5になってからでも十分である。書くの嫌い!国語
嫌い!という生徒を小4の段階で作りたくないのだ。
「好き!」と思わせればしめたもの。好きな教科の勉強は苦ではな
い。嫌いな教科よりも進んで勉強する。勉強をすれば、学力も上が
る。
しかも、模範解答は所詮「大人の作った答え」である。小4の生徒
が全く同じような記述を書けたのなら、それは本当に凄いことであ
る。
○をする。でも、明日香はこう言う。
「どうせ、お母さんに×されるから・・・」
何度かこういうことが続き、お母さんからの「厳しくつけてほしい」
という要望が室長へ届いた。
A先生はほかの生徒と違う基準で明日香の記述を厳しくつけなくて
はならなくなった。
しばらくして、明日香は学力別に編成されているクラスをダウンし
てしまった。成績もどんどん落ちていった。
もちろん、国語の記述の件が原因かどうかは分からない。
ただ、子供の口から「どうせ・・・」なんていう言葉は聞きたくはな
いなぁ、やっぱり。
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