「激励」
フラフラっとやってきたS先生。足元がどことなくおぼつかない。
目も腫れぼったいが、ま、それは僕もおんなじだ。
「しかし、どうしてS先生がここに?」
早朝から湿り気をたくさん含んだ雪が降っていた。
アスファルトに積もった雪は、たくさんの中学受験生、保護者、激励の
塾教師たちに踏まれ、みぞれ状態に変わる。
中学入試の激励。受験生たちと校門前で握手を交わし、声をかける。
2月1日から始まった中学入試も、その日で4日目。志望校合格を勝ち
取った生徒。合格はしていても違う学校を挑戦する生徒。そして、まだ
合格を勝ち取っていない生徒。
慶介はまだ合格を勝ち取っていない生徒だった。僕は彼の激励にI学園
を訪れた。彼は2日のI学園のA試験が残念な結果に終わり、この日の
B試験に挑戦する。
僕が慶介の激励に行くことになったのは前日の校舎ミーティングで決ま
った。他にも受験生はいる。しかし、当然ながら、合格をまだ手にして
いない生徒の激励を優先した。
A日程の激励は個人担当でもあるS先生が行った。今度もS先生が行く
のがいいのだろうけど、A日程が不合格だったので、別の先生にしよう
ということになった。そこで、僕がI学園に向かうことになったのだ。
傘をさす慶介の姿が見えた。隣にいるのはお父さんだ。表情は意外とす
っきりしている。いい顔だ。今日はうまくいきそうだ。
と、沿道から一人の男性がフラフラっと慶介のもとへ近づいた。S先生
だった。二人はがっちりと握手を交わした。目の下にクマを作ったS先
生の顔を見つめて、慶介はかすかに微笑んだ。
「いやぁ、寝てたらさ、慶介が夢ん中に出てきてさ、起きて気付いたら
I学園にいたんだよ」。S先生は僕にそう言った。
翌日、I学園B日程合格発表。
慶介、合格。
(生徒名は仮名です。)
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◇◇◇ Global Thinking and Local Acting ◇◇◇
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