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文部科学省は、2002年の教育改革の総括と今後の教育行政の方向性

【記事】主要教科の授業1割増…新学習指導要領案

 読売新聞(2008年2/16)より以下抜粋

○文部科学省は15日、主要教科の授業を1割以上増やすことなどを柱
にした小中学校の学習指導要領改定案を公表した。


○現行の指導要領が掲げた「ゆとり教育」で学力が低下したとの批判に
こたえることが狙い。小学校は2011年度、中学校では12年度から
実施されるが、算数・数学と理科は一部を先行実施し、09年度から授
業増に踏み切る。現行の指導要領で削減した学習内容も復活させ、算数・
数学と理科は、小中の9年間で15%程度増える見込み。

○「ゆとり」重視の象徴とされた「総合学習」は、小学校で週3コマが
2コマになるなど、小中ともに削減。指導要領の全面改定は1998年
以来で、授業時間が増えるのも約40年ぶり。同省は一般の意見を募集
し、来月末に告示する。同時に改定する幼稚園教育要領は09年度から
完全実施、高校の指導要領案は秋ごろ公表する。

○今回の改定案は、文部科学相の諮問機関「中央教育審議会」が1月に
出した答申に沿って策定された。現行の指導要領に引き続いて「生きる
力の育成」を基本理念に掲げる一方、指導要領は最低基準であると明記
し、学校の裁量でレベルの高い内容を教えることも可能にした。

○授業時間は、小学校が1、2年で週2コマ(1コマ45分)、3~6
年は週1コマ増え、6年間で278コマ多い5645コマになった。中
学も3学年とも週1コマ(1コマ50分)増え、3年間では105コマ
多い3045コマとなる。増えるのは国語、算数、理科、社会などの主
要教科で、小中ともに1割以上の増となった。

○これによって、小学校では、算数と理科がほぼ「ゆとり」以前の水準
に戻る。中学も数学と外国語が「ゆとり」以前とほぼ同じとなり、理科
は大幅に上回って現行の33%増となる。小学校の英語活動も5年生か
ら必修となり、週1コマが充てられる。

○現行の指導要領で削減された学習内容のうち、小学校算数の「台形の
面積」や社会の「縄文時代」、中学数学の2次方程式の「解の公式」な
どが復活。小学算数で「円周率は場合によって3にできる」とした規定
は誤解を招くとして削除した。道徳の教科化は見送られた。

○2002年度に実施された現行の指導要領は、「ゆとり教育」を掲げ、
自ら考える力を重視するとして学習内容を3割削減した。しかし学力低
下を招いたとの批判が高まり、中央教育審議会も答申の中で「授業時間
を減らしすぎた」などと異例の総括をしていた。
 


*私からのコメント

◇私は、2002年の教育改革の本質を教育の自由化と教育の二極化だ
と思っている。その仕掛けとして、ゆとり教育を掲げ、世間を情報操作
した。つまり、学力低下問題を引き起こし、世間に学力問題=教育問題
だという構図を定着させ、学力偏重の下地を作った。総合学習の時間や
絶対評価は、学校離れを食い止めるための一つのリップサービスだ。


◇この教育改革の真の狙いは、エリート教育と大衆教育の複線化の下地
作りだ。しかし、戦前のような単純な複線化(二元的複線化)は、国民
の反対を巻き起こすから、巧妙に、結果的に複線化(一元的複線化)に
なるように仕掛けたのだ。


◇その前提が、教育の自由化の流れだ。学習指導要領をマキシマムスタ
ンダードからミニマムスタンダードにして、最低限の学習項目を示し、
学校の裁量で高度な内容を教えても良いとした。これにより、義務教育
でも学校間格差が生じた。ましてや、普通科高校は、エリート校と中堅
校では、教科書の名前は同じでも、学習している内容は雲泥の差になっ
ていて、暗黙のうちに大学受験の有利不利を生んでいる。しかし、大学
進学の道を中堅高校以下にも閉ざさないように、大学入試形態の自由を
確保している(AO入試や一般公募制や指定校推薦などの入試形態が、
幅を利かせている)。


◇そして、今回の学習指導要領の改訂だ。学力低下問題を受けて、授業
時間を増やし、選択科目を削減して、その分を学力向上のために使うよ
うに、学校の裁量権を増した。教育改革のスローガンは、なんだったの
か!「みんなが百点を取れる教育」を謳って、ゆとり教育を始めたので
はなかったか。こんなスローガンを誰も信じていなかったのに、これを
推し進めた結果責任を誰が取るのか。


◇文部科学省や中央教育審議会は、今までの教育改革を徹底総括し、自
己批判して、今後に臨むべきではないか。そして、今後の教育行政は、
どこに向かって進んでいくのかを示すべきではないか。どんな子どもを
育てるかという前に、どういう仕掛けで、学校制度を子どもが渡ってい
くのかを示したらどうだろうか。


◇美辞麗句を重ねても意味はない。日本の来るべきリーダーを育てるた
めに、エリート教育をしたい、と堂々と明言するべきではないか。そこ
から、私たちの教育に対する議論が始まるように思う。私たちに、教育
行政の真の狙いを公開するべきだ。戦前の二元的複線化も現在の一元的
複線化も私たちは、望んでいないように思えるのだが、どうだろうか。

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