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« 遠藤 周作 || テニソン »

「驚愕」(後編)

○前回のあらすじ

とある大手中学受験塾の、ある教室における驚きの出来事を聞いた。
小6のA子ちゃんのお母さんとその教室の室長の面談で、開口一番、
驚きの一言が・・・。

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A子ちゃんの学力は小6のその塾の中程度。学力別クラスでは、真ん中あ
たりのクラスである。真ん中といっても、塾自体の学力レベルが相当高い
ので、なかなかの学力であることは間違いない。


そのA子ちゃんのお母さんと室長が面談を行った。昨年の11月のことだ。
第一志望校はもちろんのこと、何日目にどの学校を受験しようかという受
験の併願作戦も本格的に決めていこうというような面談だったらしい。


そして、開口一番飛び出したお母さんの驚愕の一言がこれだ。

「うちの娘、実は小学4年生なんです」。

なんと学年を偽って小6の授業を受けさせていたのだ。


どうして、気付かなかったのかとお思いだろう。同じ小学校の子がいた
ら一発でバレてしまうのではないかと。


A子ちゃんは電車を乗り継ぎ、およそ四十分かけてこの校舎まで通って
いたのだ。だから、同じ小学校の生徒はいなかった。もちろん、同じ小
学校の生徒がいないような遠くの校舎をお母さんは選んだのだが。


実は、この塾、わざと遠くの校舎へ通う生徒は珍しくないらしい。

「近所の校舎よりも合格実績がいいから」、

「同じ小学校の友達がいないほうがいいから」、

「塾通いを知り合いや友達に内緒にしたいから」、

などの理由でわざわざ遠くの校舎に通わせる保護者がいるのだ。
(そうしてまでも、通わせたい塾であるのは凄いことなのだが。)


だから、A子ちゃんが電車を乗り継いで通っていたとしても、教室の
スタッフは別段不思議に思わなかった。


体の大きさだって、小さいけれど、まさか小4だとは誰も思わない。
単なる小さいほうの生徒という認識だ。何より、小6で中程度の学力
なのだ。疑う余地がない。

その室長は即座に「これ以上、お預かりできません」と断ったらしい。
飛び級とか、そういう対応もあったのだろうが、まぁ、心情的には理解
できる。ある意味「ダマされていた」のだから。


お母さんは、高いレベルで勉強をさせたかったのだろうが、可哀想なの
はA子ちゃんである。


4年生なのに、6年生のクラスに放り込まれて、とても肩身の狭い思い
をしていたに違いない。小4なのに、小6のフリをしなければならない
こともあっただろう。


お母さんの気持ちも分からないでもないけれども、やはりこういうのは
大人のエゴだなぁとも思ってしまう。もし、6年生の勉強をさせたけれ
ば飛び級の相談をしても良かっただろうし、個別指導塾という手段もあ
ったはずだ。


近所にある同じ塾に通うにしても、A子ちゃんの気持ちはどうなんだろ
うか。最初は単なる驚愕の話だけだったのだが、子供の気持ちを想像す
ると、なんとも複雑な気持ちになってきた。

(生徒名は仮名です。)

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◇◇◇Global Thinking and Local Acting◇◇◇
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