教育は、学力をつけることが目的ではない。
【記事】学力テスト不参加、犬山市長「混乱に巻き込みたくない」
朝日新聞(2008年3/16)より以下抜粋
○「全国学力調査(学力テスト)をめぐり、愛知県犬山市の田中志典
(ゆきのり)市長は16日、教育委員の増員を市議会3月定例会に提案
しないことを正式に明らかにした。市長は朝日新聞のインタビューに応
じ、2回目となる08年度調査への不参加が確定することについて、
「『断念』ではなく決断した」と述べた。市民の様々な意見を採り入れ
ることをねらいに保護者に教育委員になってもらい、将来の参加もにら
んで委員数を増やす検討を続けることも明らかにした。
○田中市長は「決断」について、「私も4人の子どもたちを市内の学校
に通わせている保護者だ。現場の先生や児童・生徒をこれ以上の混乱に
巻き込ませたくないと考えた。また、市民や全国の人々にこれ以上、犬
山のことを誤解されたくはないと思った」と胸の内を語った。
○全国学力調査に対する考え方で、市長と、市教委の総意とは隔たりが
あった。
○市教委は「教育現場に競争を持ち込み、豊かな人間関係を育む土壌を
なくし、子ども同士や学校間で格差を生む」と、学力調査の弊害を指摘
してきた。
○これに対し、田中市長はインタビューの中で、調査そのものに確かに
問題もあるが、利点も多いので個人的にはやるべきだと思うとしたうえ
で、「現実には競争というものも存在する。グローバル化が日本社会で
進むなかで、親として子どもたちにもっと力をつけて欲しいとも思う。
学力調査を受けることは、子どもたちの状況を知るうえでも害になると
は思えない」と述べた。
*私からのコメント
◇全国学力調査が、これほどスムーズに浸透したのは、ゆとり教育によ
る学力低下問題のおかげだ。教育問題を学力問題に矮小化してしまった
日本の文科省の最大の貢献だ。2002年の教育改革で、日本は、目に
は見えない複線化(エリート教育と大衆教育の二極化した学校制度)の
学校制度にこれからドンドンなっていくことになる。
◇その仕掛けの一つが、この全国学力調査だ。日本の児童・生徒の学力
レベルを知りたければ、任意の学校を抽出して行えば、それで済むとこ
ろを無理やり全国に押し広げ、無駄に税金を使って、学校の序列化を押
し進め、学校に学力忠誠競争を浸透させ、学力の高低で生徒を一元的に
管理し、評価していく。そして、学校や教師までも学力を物差しにして、
評価していくための仕掛けが、全国学力調査だ。
◇教育は、学力をつけるために行うのではない。一人前の人間=大人に
なっていくために、課題を設定し、その課題を乗り越えることを通して、
一人前になる過程が、教育だ。だから、学力を獲得することが、目的で
はないのだ。
◇学力の獲得を通して、自分と向き合ったり、知的好奇心を喚起されて
社会や科学や生活に興味を持ったり、そして、仲間と協同して何かを成
し遂げる中で、一人前になっていくことが、教育の目的なのだ。だから、
学力をつける過程は、教育の目的ではなく、手段なのだ。このことをも
う一度私たちは、確認するべきだ。
◇だから、犬山市の小さな抵抗を私たちは、大きく受け止めて、文科省
に全国学力調査の再考を求めるべきだ。毎年毎年、学力調査を行っても
まったく意味はない。そんな無駄なところに税金を使うよりは、教員を
増やし、ノウハウの共有を図って、学校を活性化したほうがよっぽど子
ども達にとっても日本の社会にとってもよいはずだ。マスコミや世間の
風潮に安易に乗らないことが、これからの日本にとって重要なことなの
だ。
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◇◇◇Global Thinking and Local Acting◇◇◇
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