山本 周五郎
この世で経験することは、なに一つ空しいものはない、歓びも悲しみも、
みんな我々によく生きることを教えてくれる。
◇人生に無駄なことはないと思ってから、それが実感として意識される
ようになって、どのくらい経つだろうか。私は、なにせ占い師(町にい
る手相見)の子どもだから、早いうちからそういうことは思っていたし、
聞いて頭では理解していたが、多分、三十を過ぎた頃から、少しずつ実
感を持ちはじめて、最近、そうだな!人生に無駄なことなんてないんだ
な!と強く実感するようになった。特に、何回かの挫折を経験し、そこ
から這い上がって来たことで、その感が本当に強くなった。
◇自分の人生をどう受け止めるかは、自分の勝手だが、出来るならば、
自分の生きてきた軌跡を自分自身で大切にしたいものだ。たとえそれが、
悲しいことでも辛いことでもだ。
◇嬉しいことや喜ばしいことは、私たちにとって歓迎すべきことだが、
それらの出来事は、いわば主食じゃなくってオカズのようなものだ。オ
カズだけでは人間は成長しない。悲しいことや辛いことが、若い頃の主
食なのだ。
◇私は、若い頃、こんな意味のないことをして、どうなるんだと思った
ことが山ほどあったが、今となってみれば、その意味のないことが、随
分と意味のあることとして自分の中に残っている。今日の言霊が、言お
うとしていることは、そういうことだ。自分の経験を意味あるものにす
るのは、自分自身の心の構え次第なのだが、だからこそ、人生に無駄な
ことはないぞ!と知っておこう。
◇私たちが、生きることに無駄なことはない。無駄なことだと思うのは、
経験を受け止める私たちの意識の問題だ。もし、今の自分以上のなにも
のかになろうとするならば、これから起こるすべてのことを自分の味方
にしてしまうことだ。そうすれば、人生に無駄なものはないと分かるは
ずだ。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇◇◇Global Thinking and Local Acting◇◇◇
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

