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「春期講習2限目」

○前回のあらすじ

講習授業では、授業に入るクラスの順番がだいたい決まっている。
F校舎にいたときの僕の春期講習の時間割は、1限目に小学3年生、2限
目に中学3年生(難関国私立コース)、3限目に小6(受験)というパター
ンが多かった。

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体力勝負の小3が終わると、難関国私立コースの中3が待っている。
春期講習から新中3として勉強する彼らのモチベーションは高い。


小3同様に『荒木又衛門』と名乗っているが、偉いもので彼らは決
して僕のことを呼び捨てにはしない。

「マタさん、宿題で分からないところがあったから教えてください」

男の子はマタさんとか、マタえもん先生、女の子は大半が荒木先生、
と呼ぶ。一線を画す節度を持っているのは感心する。


難関コースだけあって、教材も難しい。社会担当の室長が言っていた。

「彼らにとっちゃぁ、社会なんて息抜きの時間みたいなもんですよ」

本当に息を抜いているんじゃないのは分かっている。社会が息抜き
になるぐらい、英語・数学が難しいということだ。


国語はどうか。文のレベルは格段に上がる。文法事項も深く突っ込
んで教える部分が増える。文学史だとか、その他の言語知識も覚え
なくてはならない。


だから、宿題も大量に出して、ガンガンやりたいのだが、でも、や
はり、英語・数学を優先させなくてはならないので、どうしても抑
え目にならざるを得ない。


「先生、『又衛門』って本名なの?」


「当たり前だろ!失礼だな!!」


本当に信じているのだろうか。僕をからかっているのだろうか。数
学と英語に挟まれた2限目の国語は、厳しくてもやっぱり楽しい授
業にしてやりたいなぁ、と思っていた。


(生徒名は仮名です。)

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