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« 宇野 收 || 本田 宗一郎 »

「黒板」

生徒への授業アンケートで、こう書かれたことがある。ある中2の女生徒
だった。


「黒板を叩かないでほしい」。

「ココ、とっても大事!」みたいな感じでたまに黒板を叩くことはあった。
ただし、頻繁にやるわけでも、そんなに激しくやるわけでもなかったので、
ちょっと意外な意見ではあったのだが、やはり、たとえ微量であっても、
チョークの粉が飛び散ったりするのに抵抗がある生徒もいるだろう。


やさしく黒板をなでて「ココ、大事だよ!」と言っても迫力はないのだが、
なるべく気をつけようと思った。


もっとも黒板を叩くといえば、僕なんかよりもはるかに激しい先生が同じ
国語科にいた。


叩くというより、「殴りつける」という表現のほうがぴったりかもしれな
い。いかにも男らしいボリュームのある声量と、合間にガツンと黒板を叩
くその授業は迫力満点だった。何度も授業を見せてもらったが、いつ見て
も圧倒された。


その先生のあだ名は「野獣」だった。先生も自らを「野獣」と呼んだ。


解説の内容や発問などは盗ませていただいたけれども、そのスタイルはと
ても僕なんかじゃ真似はできなかった。もっとも、誰も真似できなかった
だろう。唯一無二の野獣先生の大迫力授業だった。


野獣先生がどれだけ黒板を叩き続けてきたのか、それがよく分かる「モノ」
がある。


野獣先生の右手。握ったときに中指の付け根、骨が出っ張っている部分。
ここに黒板の「殴りダコ」が出来ているのだ。出っ張っている部分がさら
にボコっと盛り上がり、カチカチになっている。


生徒のほうに体を向けながら、握った右手で黒板を叩くため、出っ張りが
ちょうどあたるのだろう。本人曰く「バイト時代の18歳から授業をやっ
てきた勲章」ということだ。う~む、スゴイ!


そんな野獣先生が、ある日手首に包帯を巻いて研修にやってきた。ちょっ
と痛々しい。いつもの迫力も40%減、といったところだ。


口々に「先生、どうしたんですか?」の声。


おもむろに口を開く野獣先生。


「黒板、叩きすぎて腱鞘炎になってしまった・・・」


アツい、本当にアツい!腱鞘炎になるほど黒板を叩くなんて!
こんな先生に指導してもらえる生徒たちも幸せだろうな。
真似は出来ないけど、アツい魂だけは近づけたらいいな、とつくづく
感じたのだった。


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     ◇◇◇ Global Thinking and Local Acting ◇◇◇
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