市場環境の動きに素早く対応する大手塾に要注意!
『はじめに』
◇今回で、このメルマガも300号になります。2002年の11月か
ら始めて約6年間、正月を除いて週刊で発行してきました。ここまでや
って来られたのも、MBAの仲間と読者の皆さんのお陰です。本当にあ
りがとうございます。これからも力の続く限り、発行していこうと思い
ますので、今後ともご愛読のほどよろしくお願いいたします。
◇さて、今年の8月22日に大阪の大手学習塾の成学社が、ジャスダッ
クに店頭公開した。学習塾業界にまた公開企業が増えたことは、嬉しい
限りだ。そして、この公開にナガセが、対応した。今回は、そのことを
取り上げたい。
●
「8月27日のブルームバーグの記事(抜粋)」
成学社株が買い気配、ナガセによる大量保有が判明-関西地盤強化狙う
○学習塾「東進ハイスクール」を運営するナガセが、成学社株を7%超
保有していることが大量保有報告書で分かった。ナガセは、関西地方の
ネットワークを広げるために株式を買い増したとしており、今後の関係
強化を通じた相乗効果を期待する動きが広がっている。
○ナガセが26日、関東財務局に提出した大量保有報告書の最近60日間の
取得状況によると、ナガセは成学社の株式をジャスダック市場に新規株
式公開(IPO)した22日に800株、報告義務発生日の25日に200株それ
ぞれ市場内取引で取得。その結果、合計1000株を保有し、発行済み株式
総数に対する比率は7.14%になった。保有目的は「政策投資」と説明し
ている。
関西地方のネットワークを拡張
○ナガセはブルームバーグ・ニュースの電話取材に対し、成学社株取得
は短期的な売買目的でなく、関西など地方のネットワークを広げるため、
その一環として保有しているという。協力して事業を行っていきたいと
話した。一方、成学社IR担当の藤田正人氏は、「先方から当社株式保
有の通知は受けた。まだ具体的な申し入れはないが、何かあれば誠意を
持って対応していきたい」と述べている。また、成学社がナガセ株を取
得するかどうかは、現時点ではないという。
●
『ナガセは、四谷大塚を復活させる!?』
◇ナガセのコンテンツ政策は、明解だ。学研とは、対照的に一本筋が通
っている。だから、市場の動きに敏感に対応しても、政策自体が、ぶれ
ることはないのだろう。
◇今回の、成学社の株保有は、四谷大塚の弱点を補うものだ。四谷大塚
は、首都圏、特に東京において、ブランドが確立されていた。昨年から
全国統一小学生テストを実施して、四谷大塚を全国ブランドに育てよう
としていた段階で、今回の手は、関西地方にその基盤を求めたものだ。
◇四谷大塚は、従来テスト業者だったが、この20年来学習塾として日
能研、サピックスと戦って劣勢に甘んじてきた。この経緯を詳しく見る
ことはしないが、ナガセは、もう一度四谷大塚をテスト会社として復活
させようとしているように思える。そして、その戦略は、多分正しいも
のだ。
◇今回のナガセの動きを受けて、対応しなければならない塾がある。そ
れは、日能研だ。日能研は、学習塾としてスタートし、四谷大塚に対抗
すべく、模試を開発し、単独塾で、四谷大塚に匹敵するだけの人数を模
試で集め、ここ15年以上、首都圏の中学受験に君臨してきた。
◇しかし、昨今は、サピックスに押されて、難関校の合格実績は、低迷
してきている。そして、今回のナガセの動きなのだ。日能研関西や日能
研九州、日能研東海があるとは言え、まだまだ日能研ブランドは、全国
区ではない。日能研の閉鎖性が強過ぎて、広がりがないのだ。今回の動
きで、四谷大塚が、全国区に成長したら、首都圏でも力を発揮する可能
性がある。そうれなれば、日能研の勢力は明らかにダウンする。
◇昨年、日能研は、日能研リーグを立ち上げて、対応しているように見
えるが、ナガセのスキームと比べれば、明らかに小さいスキームに留ま
っているのだ。日能研も、そろそろ本腰を入れて、対応策を打たないと、
今までのポジションを維持できなくなるのではないだろうか。
『経営者の視点』
◇大手学習塾の資本提携、業務提携、M&Aは、これからも続くはずだ。
大手学習塾が、なぜこのような関係を結ぶかと言えば、スピード感によ
るところが大きい。大きなウェーブが来る前だからだ。準備を急ごう!
結果を急ぐのではなく、準備を急ぐべきだ。中小の学習塾は、大手のス
ピード感に負けてはダメだ!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

