武田 泰淳
われわれは、人間の美しさ強さをありがたがるが、しかし、
同時に人間の醜さや弱さもありがたがっていいのじゃないだろうか。
◇私たち人間は、動物なのだ。この本質的なことを理解していること
が重要なことだ。仏様でも神様でもない。ということは、何か不完全
な偶然性に左右されてしまう動物だと言うことだ。
◇だから、人間に、完璧さや完全さを求めてはいけないのだ。長所ば
かり求めてしまってはいけないのだ。長所を求めると同時にその裏返
しの短所も求めない限り、私たち人間はやってはいけない。いいこと
だけ求められても、それは無理なことだ。
◇今日の言霊も言うように、美しさや強さを支えているのは、その逆
にある醜さや弱さだ。その両輪があって初めて、美しさも強さも引き
立って、輝きを増すのだ。もし、美しさだけや強さだけがあったなら
ば、そういう特性を誰がありがたがるだろう。誰も見向きもしないも
のになってしまうだろう。
◇白が存在する裏で黒がその白を支えているからこそ、価値があるの
だ。片方だけを都合よく求めてはいけないのだ。
◇美しさも強さも醜さも弱さもすべて私たちのものだ。何か一つでも
欠けてしまえば、美しさも強さもバランスのよいものにはならないだ
ろう。醜い自分が存在するからこそ、愛おしい自分もあるのだ。醜さ
の自覚が、美しさを引き出すのだ。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇◇◇Global Thinking and Local Acting◇◇◇
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

