【記事】都立日本橋高校・入試で点数改ざん 悩む学校、答えどこに
朝日新聞(2008年12/1)より以下抜粋
○東京都立日本橋高校(中央区)の06年度の入試で、問題が
起きそうだと考えた2人の生徒の点数を引き下げて不合格にす
る不正が発覚した。先に神奈川の県立高で「茶髪、眉そり」と
いった「裏基準」で落とした問題が明らかになったばかりだが、
日本橋高では、当時の校長の指示のもと、副校長が点数の改ざ
ん行為にまで及んでいたという。いったい何があったのか。困
難な教育状況に、学校はどう向き合えばいいのか。
○「入試の根幹にかかわることで、断じてあってはならない」
「すべての受験者、保護者、都民に心からおわびします」
28日午前、東京都庁であった記者会見。大原正行・都教育長
は、深く頭を下げた。
○不合格にされた2人は中学既卒で、05年に一度、日本橋高
に入学していた。当時、1人は校内で暴力をはたらき、もう1
人は校外で問題を起こして補導されたことがあったという。同
年12月、2人とも「一身上の都合」で自主退学し、改めて
06年度入試に出願していた。
○同校は全日制普通科で、生徒数は約420人、教職員は約
50人という規模だ。教育関係者によると、生徒指導上、難し
い問題も一部にあったといい、06年度には39人が中退して
いる。
○都教委によると、同校の06年度入試は「学力検査600点、
調査書400点、自己PRカード100点」の計1100点満
点で判断する仕組みだった。男子は62人が受験した。
○ 2人の入試の成績は、34位と59位。「2人が合格者と
ならないように」。合否判定会議を前に、苗村深校長は、武田
富雄副校長にこう指示したという。 副校長が行った改ざんは
こうだ。2人が自己PRカードで得た60点を「0点」に。さ
らに、同年に受験した中学既卒生8人の全員分の調査書の点数
を「オール1」相当に。その上で、合否の境目にいた別の受験
生の自己PRの点数を20点加算――。 パソコンでこんな操作
を繰り返し、2人の成績を「61位」と「62位」に引き下げ
たという。
○同校は男子の募集人員を66人としていたが、結局、合格者
は60人に絞り、受験者の中では2人だけを不合格とした。
「入学させると生活指導上の課題が再発すると懸念した」。校長
は、都教委の事情聴取にこう話したという。
○2人は現在、18歳と20歳。都教委は27日に2人の保護
者に謝罪しており、今でも入学したい気持ちがあるかどうかを
確認した上で、どんな対応ができるか検討したいとしている。
○発覚の発端は、今月7日、都教委にあった告発だった。校長
と副校長は別の高校でそれぞれ校長、副校長として勤務してい
たが、都教委は更迭。今年度いっぱいはセンターで研修を受け
させるとともに、正式な処分も検討する。改ざんの刑事責任に
ついても「専門家に相談して詰めている」という。
○石原慎太郎知事は28日の定例記者会見で「フェアでなく、
あるまじきこと」「モンスターペアレントなどが跋扈(ばっこ)
し、先生が子どもを鍛え直すことは非常に難しくなったのだろ
うが、教師を選んだならその使命感だけは忘れてほしくない」
と述べた。
*私からのコメント
◇今回の事件は、先の神奈川県の神田高校と同じものなのか、
そうではないのか。まずこのことを考えなければならないが、
もう一つは、以前ならこんな事件は起こらなかっただろうから、
なぜ、最近こんな事件が起こるのか、その背景はなんなのかを
考えなければならない。
◇まずは、最初の問いだが、神奈川県の県立神田高校であった
入試の裏基準事件とは性質が違うと私は思う。今回の事件では、
二人とも、日本橋高校の中退者だった。自主退学ということに
なっているが、記事から推測するに、一度けじめをつける形で、
学校側から指導があって、自主退学したのだろう。
◇記事によれば、05年12月に自主退学して、翌年の2月に
入試を受けている。穿った見方かもしれないが、二人とも退学
時に何かしらの話があって、入試を受け直したということもあ
りえる。でなければ、こんなに早急に同じ高校の入試を受ける
だろうか。ちょっと不思議な感じがする。
◇または、この二人の生徒は、その高校の教師に相談していた
のかもしれない。いや、すべて推測だからなんとも言えないが、
神田高校のケースとは、どうも違うように感じる。それは、彼
らのことを高校側がよく知っていたからだ。厄介者として自主
退学に追い込み、さらにまた再受験の際に、点数修正をして、
決定的に学校から排除したような形だからだ。
◇今回に限っては、石原都知事のコメントは、非常にまともだ。
「教師を選んだならその使命感だけは忘れてほしくない」。そ
の通りだ。一度預かった生徒を簡単に放校処分のような形にし
て、さらに門戸を閉ざしたことはあってはならないように思う。
◇では、なぜ、このような問題が起こるのか、その背景は何か
ということだが、昨今、注目されている学校のマニフェストが、
問題ではないのだろうか。教育という行為は、数値だけでは測
れないものだが、マニフェストは、どうしても数値化したもの
になってしまう。この数値化したものをまずは無理やり作って、
作った限りは、それを守らせるように教育行政が圧力をかける。
そういう風潮が、この事件の背景にはあるように思う。
◇マニフェストに都合の悪いものは、排除しようとするのだ。
もし、そうだとしたら、先の石原都知事のコメントは、なんと
も白々しいものだろう。当の本人が結果的に圧力をかけて、教
師の使命感をゆがめるような背景を作ってしまったのだから。
◇何でもかんでもマニフェストにすればよいというものではな
い。教育内容に適する数値をマニフェストに載せるのならいい
のだろうが、そうでなければ、教師を苦しめることに繋がる。
今回の事件を契機に、マニフェストの内容の吟味をするべきで
はないだろうか。
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◇◇◇Global Thinking and Local Acting◇◇◇
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