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「死ぬな」(後編)

○前回のあらすじ

3年間、クラス替えもなく、担任の先生も替わらなかった高校時代の担
任の先生は、長い休みに入る前日のホームルームに決まってこう言った。


「いいか、みなさん、死ぬなよ」と。


正直、「またか」と思う。「死なないよ」と思う。ボクと同じ気持ちな
のだろう。他のみんなも苦笑している。


しかし、先生は真顔で言うのだ。「死ぬな」と。


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最初に聞いた1年生の夏休み前の「死ぬな」は、冗談だと思った。


冬休み前も同じことを先生は言った。今度は、休み前のキメ台詞みたいな
もんだろうと思った。


その次からは「またか」と思うようになった。みんなそう思ってたに違
いない。


何度目の「死ぬな」の後だったろう。どんな経緯かは忘れてしまったけ
ど、クラスメートの一人が「死ぬな」の意味を知った。もちろん、それ
は仲のいい友達に伝わり、そして、クラス全体に伝わった。

そこから遡ること、数年前。先生はある学校で、やっぱり、あるクラス
の担任だった。やっぱり、夏休みが来て、やっぱり、ホームルームもあ
った。


でも、そのとき先生はまだクラスのみんなに「死ぬな」とは言わなかっ
たはずだ。


その夏休み。死んでしまった。
クラスの生徒の一人が水難事故で亡くなったのだ。

衝撃だった。ボクだけじゃない、みんなそうだったろう。先生の「死ぬ
な」は冗談なんかじゃなく、苦笑して聞き流すような言葉でもなく、悲
しみが詰まりに詰まった心からの願いだったのだ。

幸い、ボクたちは、みんな死ぬことなく卒業できた。


きっと、先生はそれからもずっとクラス全員に言い続けたはずだ。そ
して、昨年、先生はボクの母校の校長先生に就任した。だから、今度
は終業式で、全校生徒に向かって言っているだろう、「死ぬな」と。


その一語に心からの願いを込めて。


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     ◇◇◇ Global Thinking and Local Acting ◇◇◇
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