「声」
僕は地声がでかい。
塾の講師として、それは悪いことではない。大きな声は「元気」や「熱意」
が伝わる。大きな声を出すと、自分も元気になる。声=エネルギーだ。
「先生、声がデカすぎるよ」
自分では、ちょっと大きな声を出しただけのつもりだったのだが、隣で授
業をしていた算数のH先生は苦笑交じりにそう言う。
「いやぁ、そうですか?スミマセン・・・・」
まぁ、一応謝ってはみるが、正直たいして悪いとは思っていなかった。
が、ある日のこと。
中学生の授業時間。8時を回り、文章読解の最中。やっぱり、でかい声
でつまらない冗談を交えて解説していたところ、事務スタッフのSさん
が教室へやってきた。
授業は中断。生徒も不思議そうに見ている。
「先生、ちょっと窓閉めてもらっていいですか?」
教室は熱気が篭る。ただでさえ熱苦しいボクの授業だ。空気の入れ替え
のために、エアコンにスイッチが入っていなければ、たいてい窓を開け
ておく。
「あっ、ハイ・・・」
窓を閉めて授業を再開した。
授業後。室長が言う。
「いやぁ、荒木先生、隣の人から、苦情もらっちゃったよ」
隣といっても、もちろん、隣の教室ではない。塾の隣の民家の方である。
僕が授業をしていた教室はちょうど、塾の隣にある民家の壁に一番近い。
授業の声がうるさかったらしい。
今まで何度もその教室で授業をしてきた。しかし、その日、ついに我慢
の限界に達したということなのだろう。
「教室の窓を閉めてもやっぱり、『ウルサイ』ってさ」
怒鳴ったりしたわけではない。普通に授業をしていただけなのに。
と、いうわけで、その日以降、僕はその教室での授業を禁じられた。
もちろん、生徒は楽しんだ。からかった。ちょっと声が大きくなると
「せんせい、せんせい」と言いながら、口を人差し指に当て、「シーッ」
と言った。
もちろん、「てめぇら、ふざけやがって!」とデカイ声で言いたかった
のだが、うん、そのときはさすがに我慢した。
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◇◇◇ Global Thinking and Local Acting ◇◇◇
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