芥川 龍之介
臆病は文明人のみの持っている美徳である。
◇臆病者というと、あまりいい意味ではないが、実は、勇気ある人間
は、実に臆病なものだ。だからこそ、勇気ある人間は、何かをやろう
とする時に、しっかり準備をし、無難に物事を処理していく。勇気あ
る人間は、決して無鉄砲な人間ではないのだ。
◇今日の言霊も、臆病になるのは、物事を知っているからだという前
提から、そういう臆病を文明人の持っている美徳だと言うのだ。人生
でも何でもそうだが、何かを知れば知るほど、奥深いということが分
かってくる。
◇だからこそ、今自分の知っていることには、まだ先があって、実は
自分は、それについてまだ何も知らないのではないだろうか、という
疑問が生まれるようになる。その不安が、臆病の素だ。知れば知るほ
ど、何も知りえないかもしれないと言う気分になった時、臆病になる
のだ。本当の意味での文明人とは臆病なものなのだ。
◇逆に言えば、文明人になればなるほど、謙虚になっていくと言うこ
とでもある。自分では知りえないことが自覚できるからだ。その自覚
が謙虚を生むのだ。臆病と謙虚は、紙一重なのだ。その意味でも臆病
を美徳と言っていいのではないだろうか。
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◇◇◇Global Thinking and Local Acting◇◇◇
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