「ハシラ」
春。生徒は新しいクラス、新しい仲間で新鮮な気持ちで新学年のスタート
を切っている。塾でも新入生を迎える数が一番多いのもこの季節。そして
新しいのは生徒だけでなく、教師も。
クラスごとに「座席表」を作成する。誰がどこに座るのかを決めるのだ。
体の大きい生徒は後ろになる場合が多い。学力的に不安のある生徒やおと
なしい生徒は教師の目に届きやすい位置に。こんな具合で考えていって、
教室に配置された机の図に生徒名を記入していき、座席表が完成する。
座席表は教室の壁に貼られ、生徒はそれを見て自分の座る座席を確認する。
また、教師用にクラス出席簿にも座席表は貼り付けられていた。まだ生徒
の顔を覚えていない新人教師や新しく異動してきた教師は、座席表を見な
がら授業を行う。
I先生が春期講習から、新しい校舎へ異動となった初日のことだ。中2の
授業で、出席を取った。通常は、名簿を見ながら出席を取るのだが、生徒
の顔と名前を覚えようと、座席表を見ながら、出席をとっていく。
座席表を見ながら、名前を呼んでいく。返事をする生徒たち。しかし、あ
る生徒のところで、止まってしまった。
「ハシラ!」
I先生が呼んでも、返事がない。
「ハシラ!ハシラはいないのか!?」
次第に困惑の表情を浮かべる生徒たち。
「ハシラ・・・」
ここで、何かに気付くI先生。座席表と教室の様子を改めて眺める。
「あっ、ゴメンね、みんな・・・」
『ハシラ』はいなかった。しかし、教室に『柱』はあった。
教室の柱が立っている位置に、座席表に「柱」と記入されていたのだ。
この後、I先生は笑いとともに生徒に受け入れられ、明るい雰囲気で
授業を行うことができたそうだ。
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◇◇◇Global Thinking and Local Acting◇◇◇
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