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「名前」(後編)

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○前回のあらすじ

昨年のことだが、「ブタがいた教室」という映画が話題になり、先日、D
VDも発売された。平成2~4年にかけて大阪の小学校で行われた、豚の
飼育を通しての「いのちの教育」がもとになっている映画だ。


この話で、命とか、教育とか、そういうこととは別次元で、感じたことが
「名前」の尊さである。

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恥ずかしい話だが、自転車に名前をつけて乗っていた。学生のときに購入
し、15年間乗り続けた。その間、タイヤを3回交換し、ブレーキを2度
ほど修理した。


結局、新しい自転車を買ったほうが安上がりだったのだが、どうしてもそ
の自転車を手放す気になれなかった。「名前」をつけてしまったからだ。


名前をつけたことで自転車は自転車としての存在を越え、僕の相棒となっ
ていた。半端ないほどの愛着をその自転車に感じていた。


「彼」の最期―これ以上、走らせるのは可哀想だと判断し、粗大ゴミへ―
には、ビールをかけてやり、僕はその傍らで発泡酒を飲んだ。


何かに名前を与えた瞬間、それは「人間」に近い存在になるんだと思う。
ぬいぐるみに名前を付けるのも、犬に名前を付けるのも、自転車に名前を
付けるのも、より身近な存在として、ときには家族の一員として、「人間」
の領域に巻き込む行為なのではないか。


さて、Pちゃんである。


いつも食べる豚には名前がない。たとえあったとしても、食べる我々はそ
れを知ることはない。トンカツを運んできたおばちゃんに「この豚はねぇ、
トン子ちゃんっていうんですよ」なんて言われでもしたら、その瞬間、食
欲は吹っ飛んじまうだろう。


「Pちゃん」という名前がついた瞬間、生徒たちにとって豚は豚ではなく
なったのではないか。そのことが、生徒たちに「ドラマ」を生むきっかけ
だったように思う。


名前。一人ひとりが持っている名前。人間によって与えられた名前。その
どれもが尊いものに思われてならないのである。


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    ◇◇◇ Global Thinking and Local Acting ◇◇◇
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