「モデル」(後編)
○前回のあらすじ
僕は感化されやすいが、もちろん、しょっちゅう影響を受けるわけではな
い。「かっこいいな」、「すごいな」、「なるほどな」と思える対象がいて、
初めて感化される。
このことは、子供たちも同じだろう。子供だからこそ、余計、その傾向は
強いはずだ。
授業中、話を聞かない。
宿題をやらない。
遅刻がなくならない。
学習計画を守らない。
このような生徒がなかなか言うことを聞いてくれないという経験を何度
もした。原因はさまざまあるだろう。
授業が下手。
入試の知識や教科知識が不足している。
話がつまらない。
生徒の話を聞かない。
いろいろあるが、ひと言でまとめるのなら、「言うことを聞きたくなるよ
うな教師でなかった」ということだ。
おそらく、僕が「来週までにこの問題をやってこよう!」というよりも、
ジャニーズのタレントが教室に来て「来週までにこの問題をやってこよ
う!」と言ったほうが、女の子たちはよっぽど宿題をやってくるだろう。
「こういう人になりたいな」、「この人、カッコイイな」、「なんだか面白
い人だな」、「真似してみたいな」などと思わせることができたのなら、
存在そのものが、憧れだったり、影響を与えられるものだったりしたら、
生徒たちは素直に言うことを聞いてくれただろう。
先生なんだけれども、その前に、「人」として、カッコイイ存在になれ
たのなら。そのことに気付いたのはだいぶ後だった。
しかし、言うは易し。そういう存在になるにはどうしたらいいのだろう。
頭を悩ませる日は今でも続く。

