「受験英語」
朝、駅で電車を待っていると、私立の中学生らしい女の子二人組みの会話
が聞こえてきた。
「受験英語って役に立たないんでしょ。やる気になんない。英会話とか勉
強するほうがいいよね」
「そうだよねぇ」と聞き手も同意する。
『受験英語』。久しぶりにこの単語を耳にした。入試のときだけ通用して、
一般社会ではあまり役に立たない英語、という皮肉を込めた言葉だ。
でも、本当に受験英語って役に立たないのだろうか。
僕自身、まがりなりにも中学・高校と6年間も英語を学習した。いや、そ
ういえば、大学の2年間も英語は必修だったから8年間だ。確かに外国人
と英会話を通じてスムーズなコミュニケーションを取ることはできない。
しかし、コミュニケーションなら取れる。相手の言いたいことを紙か何か
に書いてもらったなら、ほとんどが理解できる。英単語をつなぎ合わせて
しゃべれば、不十分ながら、なんとか相手に言いたいことを伝えることも
可能だ。これは、僕の経験だが、他の人もそう大差はないだろう。
つまり、僕が勉強してきた、いわゆる受験英語でマスターできなかったの
は「英語を聴き取る力」であり、英単語や文法を覚えるのは決して役に立
たないことではない。書いてもらえば、翻訳して理解できるし、つぎはぎ
の単語でも相手にはなんとか通じるのだから。
聴き取れなきゃ意味がないと言われればそれまでだが、受験英語を100%
否定するのもいかがなものか。英会話にしたって、単語や特殊な言い回し
を覚えなきゃならないはずだ。
だから、一つ言いたい。大切なのは、どのようなモチベーションを彼女達
に与えるのか、だと思う。ただ「入試に出るから勉強しろ」ということで
はなく、英語を勉強する意味や楽しさを教師が伝えていかなければならな
いはずだ。
中学生の口から「受験英語」なんて言葉が出ること自体に違和感を覚え、
こんなつまらないことを考えてしまった。
さて、彼女達が志望する大学にもしも「英会話」という試験があったのな
ら、それも「受験英語」になるのだろうか。

