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「字を書くということ」(後編)

「字を書く」という話と「小学校」という話題が出たところで、ふと思い出
したことがある。小学校2年生のときの僕の思い出だ。


「硬筆」だったか、「書き方」だったか、その授業の名前は忘れた。
鉛筆で字を上手に書けるようになりましょう、という授業だった。
担任の女性の先生の指導だった。確か、ヒノ先生といった。


専用のテキストがあった。
見本の漢字があり、その漢字の「なぞり書き」ができるようになっていた。
その下に空欄のマスが数個あった。見本の漢字を自力で書いてみましょうと
いうことだ。


書けたら、先生のところへ持っていく。
先生は教壇の机で、生徒の字をチェックする。一斉に書き始めて、書けた子
から順番に並んだ。


1ページを書き上げて、僕も並んだ。僕の前にはハラダ君が並んでいた。
ハラダ君が先生にテキストを見せた。ヒノ先生が言う。

「すごーい。キレイに書けたね。大人が書いたみたい!」


次が僕の番。さっきのハラダ君みたいに褒められるのを待っていた。
チラッと見えたハラダ君の字と僕が書いた字に大差はない。
ハラダ君があれだけ褒められるのなら、当然僕も、と思った。


そして、テキストを机に置いた瞬間、ヒノ先生は言った。

「うわー、きたない!キレイに書き直してきなさい!ていねいに書く!」

きたなーい、で眉間にしわが寄った。


意外。ハラダ君と何が違うのか全然分からない。
でも、先生は書き直してこいと言う。だから、全部消して僕は書き直した。
ていねいに書いた。


もう一度並ぶ。僕の順番でヒノ先生は言う。

「きたない!さっきと全然変わってない!もっとていねいに書きなさい!」


僕の記憶はここまでだ。この後、どうなったかは覚えていない。


書き直せと先生が言うから書き直す。
ハラダ君と同じように見えるのだけれども、どうして書き直すのかという疑
問はなかった。今と違って素直な少年だったと思う。


今なら思う。「『ていねいに書く』ってどう書くんだよ!書けっていうだけ
じゃなくて、ちゃんときれいに書ける方法を指導してくれよ!ハラダ君のど
こが良くて、俺のどこが悪いんだよ、教えろよ!!」と。


小3になって、僕は習字の教室に通った。親に勧められたわけではなく、確
か、僕のほうが「習いたい」と言ったはずだ。
意識したわけではないけれど、このときのことがトラウマになっていたのか
もしれないなぁ。


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    ◇◇◇ Global Thinking and Local Acting ◇◇◇
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