【記事】土曜授業 「復活」の兆し
朝日新聞 2010年1月17日
「地域に公開」東京は積極的
○教室に入りきれない保護者が廊下から室内をのぞき込む。
東京都葛飾区立鎌倉小学校で昨年11月13日に行った、今年度4回目の土
曜授業は盛況だった。
東京東部の住宅地にある同校は、今年度、土曜授業を5回行う。
授業時間の確保や地域との連携などを目的に掲げる。
ふつうの授業のほか、子どもが考えた遊びを披露する会や、薬物乱用防止教
室などもある。すべて保護者らに公開する。
○3年生の長男と1年生の長女の授業を見に来た会社員の男性(40)は
「勉強する時間は多い方がいい。どんどんやってほしい」。
5年生の長男が通う会社員の女性(41)も「週5日制に慣れた子どもや先
生は大変だと思うが、毎週やってもいい」。
○とはいえ、学校自体はおいそれと導入に突っ走るわけにはいかない。
吉沼和人校長は「授業時数が増えたことで、行事の練習や準備に多めに時間
を割けるなど、少し余裕はできている。だが、教員はさらに激務になるので、
体調を崩さないように注意を払っていく必要があると思っている」と話す。
○葛飾区教委は今年度、区立の全小中学校で5~10回、土曜授業を試行し
ている。
保護者や区民からは好意的な意見が多く、来年度は8月以外の毎月第2土曜
に全校一斉に実施することにした。
○都内では他にも来年度から、港区が毎月第1、第3土曜で年19回、墨田
区も月1回、第3土曜を標準に実施することを決めた。
江戸川区は「年4回以上」。足立区も原則年10回程度、毎月第2土曜に実
施する。
競争意識働く
○土曜授業を始める動きは東京が突出している。
都教委が学力テストの結果を市区町村別に発表したり、多くの区が学校選択
制を導入したり、教育改革に競争原理を用いている点が影響していると、あ
る教員はみる。
「隣の区が、隣の学校がやるならうちも、という意識が働いている」
○都教委は昨年1月、「土曜授業は月2回を上限とし、保護者や地域住民へ
の公開が条件」との通知を出した。
条件を明確にすることで実施を後押しする意味がある。
学習内容が増える新学習指導要領の実施を受け、授業時間を増やしたいとの
学校の声に応えたという。
葛飾区が今年度に試行したのも、まさにこの方針に反応したものだ。
○「『子どもが家庭や地域で過ごす時間を増やす』という学校週5日制の趣
旨に合わせた。月の半分以上の土曜に授業をしたのでは週5日制と言えない
から、月2回の上限を設けた」と都教委の担当者は説明する。
全国各地の教委から問い合わせが相次いだ。
○もともと東京は、正規の授業ではなく任意参加の「補習」を土曜に行う公
立学校が多かった。
文科省による昨年4月のアンケート(抽出式)では小学校23%、中学校3
0%。
全国平均(小学校3%、中学校7%)をはるかに上回った。
「学力向上を望む保護者の声に公教育も応える必要がある」(担当者)とい
うのが都教委のスタンスだ。
○正規の授業として時間割りには含めないものの、土曜に希望者を対象とす
る補習などを行っている地域は多い。
京都市は08年度から、地域のボランティアを募って小中学生の自習の場を
つくる「土曜学習」を続けている。
10年度は市立小の全校、市立中でも大半で実施し、ほぼ毎週実施している
学校もある。
○このほか、文部科学省が09年度から始めた「放課後子どもプラン」を利
用し、週末に原則として先生以外の人が勉強やスポーツを教える学校も各地
で増えている。
○土曜授業と学校週5日制、週5日制は2002年に完全実施された。
学校教育法の施行規則は、土、日曜を公立小中の休業日と定めるが、「特別
な必要」がある場合は土日にも授業を行えるとしている。
運動会や文化祭などの多くはこの仕組みを使って実施されている。
現在多くの自治体で行われている「土曜補習」は任意参加で、授業時間の枠
に入らない。
これに対し「土曜授業」は正規の授業の枠内。
都教委は、土曜授業は公開の形で行い「地域に開かれた学校作り」に活かす
から、地域との連携を求める中教審の答申の趣旨にも合致すると説明。
文部科学省も事実上容認した。
私のコメント
◇「ゆとり教育」の象徴として学校週5日制の導入が2002年から完全実
施になったが、結局、今度の学習指導要領の改訂で、「ゆとり教育」なんて
ことは吹っ飛んで、2002年の枠組みでは、新しい学習指導要領はこなせ
ないということになり、土曜日の授業をどうするかという議論が全国で起こ
るようになった。
◇それは、当たり前のことで、学習量を減らすから学校の授業を減らせるの
だが、学習量を増やそうというのだから削った学校の授業時間をそのままに
して出来るわけがないし、出来るとすると、その昔、さんざん「詰め込みは
だめだ!」と言って「ゆとり教育」を導入した趣旨と本当の意味で矛盾し、
あの時に言っていたことが、益々欺瞞性を帯びてしまうことになる。
◇子どもの個性を伸ばすためには、「ゆとり」が必要だということで、学習
量を減らし、「ゆとり」を作るために、学校の授業時間を減らして、生活上
の「ゆとり」を確保したのだ。
◇当然、学力低下問題が起こることを承知で行なっていったのに、一旦学力
低下問題が表面化したら、今度は、「ゆとり教育」を簡単に切り捨てて、今
回の学習指導要領の改訂にまい進したのだ。
◇あの時のスローガンはどうなってしまったのだろう。
子どもたちの個性は作らなくていいのか?そんなことを文科省に言いたい気
がするが、今回の記事の中にあるように、自主的に学校が、土曜日の授業を
推進してくれることを文科省は、祈っているのだ。
◇以前から私が訴えていたように、2002年の教育改革は、日本の教育を
学力偏重にシフトするための罠だったということだ。
今回の記事からはっきりしたように思うが、どうだろうか。
土曜日の授業は、全国にどんどん広がっていくように思う。
そして、10年前に企てたことが、全く姿を消すように思うが、どうだろう
か。
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◇◇◇Global Thinking and Local Acting◇◇◇
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