中高一貫校は、何のためにあるのか?
○山梨で導入の是非が議論されている県立の中高一貫校。
「ゆとりが生まれる」と歓迎する声がある一方で、「受験競争を低年齢化さ
せる」と反対意見もある。
県内で唯一の公立中高一貫校、北杜市立甲陵中学校・高等学校を訪ねた。
○8月上旬の夏休み。小高い丘を上がっていくと、洋館のような学びやが現
れた。
校内には、提携している大手予備校の衛星講義を受けるために登校している
高校3年生たち。
薄型の液晶画面に映し出される物理の講義を、真剣な様子でノートに書き写
していた。
○同校は2004年、少子化による生徒数減少に歯止めをかけるため、2学
級40人の少人数制の中等部を併設。
予備校と提携し、英、国、数で生徒が担当教員を選べる特徴がある。
一方で受験勉強に偏らないよう、海外研修などコミュニケーションを重視し
た英語教育や校内行事、部活動への取り組みも盛んだ。
○一貫校化を検討していた当時を知る山口昇教頭(高校)は「長野県も含め
て、志望者を奪われる周辺の中学からの反発が大きかった」と振り返る。
○同校は「通学時間がおおむね1時間程度以内で、北杜市に保護者とともに
居住する生徒を基本とする」としているが、進学態勢の整った一貫教育に魅
力を感じ、遠方から進学する生徒も多い。
実際、生徒の3分の1は長野県の諏訪市や松本市からやってくる。
県立中高一貫校について山口教頭は「選択肢が増えることはいい」としなが
らも、「他の中学への影響が最もネックになるだろう」と話す。
○県教育委員会は8月、県立中高一貫校の導入を議論する高校審議会を発足
させた。
県教委は導入に前向きだが、審議会委員からは「結論ありきでなく、必要性
を議論すべきだ」などと慎重な意見も相次ぐ。
○9月12日の第2回会合。
県教委の担当者は「高校入試がないため、教育にゆとりが生まれる」「6年
間の継続した指導が可能」とメリットを説明した。
○これに対し、委員からは「受験戦争の低年齢化を引き起こす」「中学の選
択は子どもより親の意向が優先されがち」(保護者代表)と懸念。
設置場所を巡っても「一部の子どもたちが恩恵にあずかる仕組みは避けるべ
きだ」(高校代表者)という指摘もあった。
○もともと私立の専売特許だった中高一貫校。
教育の多様化などを理由に学校教育法が改正され、1999年度から公立で
も設置できるようになった。
すでに山梨、長野、富山、鳥取を除く43都道府県で都道府県立の一貫校が
導入され、長野県でも来春、県内初の一貫校が開校する。
県立の一貫校を持たない富山と鳥取の県教委担当者は「県土の狭い県内では
一貫教育は私立が担えば十分」と口をそろえる。(板垣麻衣子)
私のコメント
◇公立中高一貫校を全国に500校程度作ることにどんな意味があるのだろ
うか。
これは、公立学校の復権を狙った施策だというのが、世間ではもっぱらの噂
だが、噂は本当のようで、公立高校の復権には、この公立中高一貫校の大学
実績が、非常にモノを言っている。
やはり、公立中高一貫校は、大学の現役合格を狙うための、学校なのだと世
間では思われている。
◇それもそのはずで、高校入試がない分だけ、大学受験にシフトした教育が
6年間で出来るのだ。
そして、記事にもあるように教育的な実験として予備校の協力を受けて、予
備校の授業も受けられるという学校も少なくない。
記事の中にリスクが挙げられていたが、そんなことは、百も承知で、中高一
貫校を作っているのだ。
だから、もし反対をするならば、皆が思いもよらないリスクを挙げなければ、
この動きを止めることはできないだろう。
◇また、リスクの中にあった「一部の子どもたちが恩恵にあずかる仕組みは
避けるべきだ」という意見は、全く現実を見ていない意見だと言わざるを得
ない。
なぜならば、公立高校の中で差への大きな格差があるのだから、中高一貫校
だけの問題ではないのだ。
ましてや、首都圏と地方は、全く同じというわけではないが、大概の公立中
高一貫校を受ける子どもの保護者の所得は、当然、公立中学校にそのまま進
学する子どもの保護者よりは、高いということが言える。
それは、受験準備にそれなりのお金がかかるからだ。
そういうことも考えるならば、私立中高一貫校とそれほど事情は変わらない
のだ。
◇だとすれば、当然、公立中高一貫校の使命は、大学現役合格に収斂してい
くことになる。
まさに、教育目的を云々したところで、保護者や市場(マーケット)は、大
学進学率を主眼に考えることになってしまうのだ。
このことをしっかり意識して、公立中高一貫校のあり方の議論をしてほしい
のだ。あまりに表層的な議論では、何も生まれないような気がする。
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◇◇◇Global Thinking and Local Acting◇◇◇
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